【ドラマレビュー】「野王」悪い女 vs 良い女 vs 可哀相な女

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ハリュの運命を巡る3人の女性とは?

ハリュ(クォン・サンウ)の復讐が本格化し、SBS「野王」の視聴率も共に上昇している。韓国で12日に放送された「野王」13話は、17.5%の全国視聴率(ニールセン・コリア集計)を記録、前日より2.3%も上昇し、自己最高視聴率を記録した。これは月火ドラマの間で今まで1位を守ってきたMBC「馬医」を脅かす記録で、今後二つのドラマの視聴率対決も見どころとなる。

最近「野王」が視聴者から好評を得ているのは、緊迫感が増していくストーリーと共に多様なキャラクターの間の構図がさらに明確になったためだと思われる。特に12日に放送された「野王」10話では、ハリュを巡る3人の女が「復讐すべき女」「切り捨てるべき女」そして「口説くべき女」と、一目瞭然に整理され、ドラマがさらに面白くなった。

復讐すべき女はチュ・ダへ(スエ)、切り捨てるべき女はソク・スジョン(コ・ジュニ)、そして口説くべき女はペク・ドギョン(キム・ソンリョン)だ。それぞれのキャラクターを分析すると「チュ・ダへ=悪い女」「ソク・スジョン=良い女」「ペク・ドギョン=可哀相な女」と表現することができ、ハリュの復讐はこの3人の女性とどのような関係を維持していくかにかかっていると言えるだろう。「野王」に登場する悪い女、良い女、可哀相な女を通じて、これからハリュに降りかかる運命を予測してみよう。

悪い女チュ・ダへ、説明の要らない“復讐の対象”

(C)SBS
チュ・ダへは説明の要らない「悪い女」だ。成功のために夫を捨て、最後まで欲望に振り回され、娘を死に追いやった。引いては更に高いところに上り詰めるために、ハリュの双子の兄殺害に関わった。チュ・ダへはつまり、ハリュにとって復讐の対象だ。

この日の放送で、彼はペク・ドフン(東方神起 ユンホ)と結婚発表までし、名実共にペクハクグループに浮上する核心勢力となった。チュ・ダへが怖いのは、驚くほどに緻密で、自身の計画のためならどんなことでもするというところにある。ペク・ドギョンにより自身の過去が暴かれる危機に晒されると、ペク・ドギョンの愛馬リサを殺す残酷さを見せ、チャ・ジュウン弁護士に変身したハリュの正体を暴くため、その指紋を確保するための高度な戦略まで立てた。オム・サムド(ソン・ジル)の機知がなければ、この日ハリュは正体を暴かれていただろう。

これからもチュ・ダへは、チャ・ジェウン弁護士を疑い続け、引き続きハリュの正体を暴くために努力するだろう。よってハリュの復讐が成功するためには「悪い女」チュ・ダへに正体を暴かれないことがなによりも重要だろう。彼女の賢さと緻密な計略に立ち向かうハリュ、そしてハリュの師匠オム・サムドの活躍が期待される理由だ。

良い女ソク・スジョン、変数として浮上

(C)SBS
ハリュにとって切り捨てるべき女は、自身の双子の兄チャ・ジェウン弁護士の婚約者ソク・スジョンだ。ソク・スジョンは限りなく優しい女で、今までチャ・ジェウン弁護士に代わり、ハリュ探しに大いに貢献してきた。そして生前のチャ・ジュウン弁護士とは結婚を約束するほどの仲だった。

問題は、今のチャ・ジェウン弁護士がハリュ本人だという事実にある。この日の放送でスジョンはハリュに一週後に両家の親に挨拶し、結婚の準備をしようと話した。ハリュとしてはありえないことだ。ソク・スジョンは兄の彼女、義理の姉になるはずだった女だからだ。更にソク・スジョンと親密な関係になると、自身の正体が暴かれるはずだ。

特にソク・スジョンは「野王」の様々なキャラクターの中で、チャ・ジェウン弁護士とハリュを区別できる唯一の人物でもある。彼はハリュには無く、チャ・ジェウン弁護士にはあった腕のほくろを目撃している。もしハリュがソク・スジョンに正体を気づかれれば、彼は弁護士としての人生を横取りするために兄を殺した犯人として疑われる可能性が高い。よってソク・スジョンにだけは徹底して自身の存在を隠さなければならない。

ソク・スジョンが司法試験1次まで合格したほど法に詳しいという点は、ハリュが弁護士として活躍するに置いて役に立つかもしれないが、色々な側面から考えて、得られるものより失うものの方が多い。果たしてハリュはソク・スジョンに正体を気づかれないだろうか。ソク・スジョンという存在は、ハリュにも、そして「野王」にとっても“変数”として働く可能性が高い。

可哀相な女ペク・ドギョン、利用されるだけなのか

(C)SBS
3人の女性のなかで最も可哀相なキャラクターはペク・ドギョンではないだろうか。彼女はペクハクグループの会長の娘で、常務にまで昇進するが、息子を弟として育てる苦しみがある。さらに、自身の全てを注いで育てた息子ドフンがチュ・ダへに夢中になり、毎日のように棘のある言葉を口にして、心を傷つけられる。

唯一の心の拠り所は乗馬だったが、最も愛する馬のリサさえも、チュ・ダへの手によって殺された。彼女が感じたであろう虚脱感や空虚さがどれ程のものだったのかは十分に予想できる。しかし、よりによってその時期にハリュが意図的に接近してきた。彼女の好きなワインと映画の話で彼女に近づいた。近く彼はチャ・ジェウン弁護士に、いやハリュに夢中になるだろう。

そのためだろうか。映画「ティファニーで朝食を」について「以前はオードリー・ハップバーンが好きで観ていたのですが、今は歳をとったせいか、何も知らず利用された上流層の男に目が行きますね……」と語るシーンは、彼女の運命を予告しているかのようだ。ペク・ドギョンもまた何も知らずハリュに利用される上流層の女になるのではないだろうか。

この日の放送は、チュ・ダへとハリュの関係を暴くために追跡してきたペク・ドギョンが、ハリュとチュ・ダへを呼んだ席で、ハリュの写真を出したところで終わった。チャ・ジェウン弁護士とハリュの顔が同じだという事実に驚くペク・ドギョン常務。そしてハリュと自身の過去が暴かれるのではないかと焦るチュ・ダへ。果たしてハリュはこの危機をどう乗り越えるのだろうか。3人の男を適切に利用しながらどんどん最後の瞬間に向かって行くハリュの先行きは十分に興味深い。

記者 : パク・チャンウ、写真 : イ・ジョンミン