ノ・ヒギョン脚本家「その冬、風が吹く」で低視聴率から抜け出せるのだろうか 

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SBS水木ドラマ「その冬、風が吹く」が韓国で13日に放送開始となった。トップスターのチョ・インソンとソン・ヘギョのドラマカムバック作で早くから話題になった同ドラマは、2013年SBS最高の期待作の一つになっている。関心は果たしてどれほどの視聴率が出るのかに集中している。チョ・インソン&ソン・ヘギョというめったに見ないカップルを誕生させたことで興行の可能性が非常に高くなったためだ。特に「その冬、風が吹く」の執筆を担当したノ・ヒギョン脚本家もいつもより焦っているのではないかと思う。

彗星のごとく登場したドラマ脚本家のノ・ヒギョン

1995年MBCベスト劇場「セリとスジ」でデビューしたノ・ヒギョンは簡潔でストレートな台詞、緻密な状況設定、人間に対する深い洞察を基に華やかにデビューした脚本家だ。引き続き彼女はMBC単幕ドラマ「ママのクチナシの花」「世界で一番美しい別れ」などを発表し、評論家から好評を得ると同時に大衆的にも大成功を収めた。特に、「世界で一番美しい別れ」は百想芸術大賞テレビ部門で大賞を受賞した作品でもある。

ガンにかかった母とその家族の人生を淡々としながらも繊細に描いた1995年作「ママのクチナシの花」と1996年作「世界で一番美しい別れ」はいまだにノ・ヒギョンを代表する名作となっているが、彼女はこの2つの作品で“一生尊敬し愛する”女優、ナ・ムニと縁を結ぶことになる。その後、ナ・ムニは「私が生きる理由」「愛の群像」「グッバイ・ソロ」「彼らが住む世界」「パダムパダム 彼と彼女の心拍音」など、ノ・ヒギョンのドラマの代表的な女優になった。

翌年ノ・ヒギョンは、MBC「私が生きる理由」で初めての長編ドラマに挑戦する。1970年代の麻浦(マポ)を背景にチンピラと酌婦など、小市民の人生と愛をリアルに描いた同作品でノ・ヒギョンはMBC演技大賞の作家賞を受賞し、長編ドラマデビューにも成功した。業界の先輩たちの反応も良かった。MBCドラマの大物脚本家のキム・ジョンスはこのドラマを見て「ノ・ヒギョンはしっかりした脚本家」と褒め、「オギ叔母さん」「ウンシル」を執筆したイ・グムニム脚本家も「きれいで温かい目を持った脚本家」とよく評価した。

このような評価に応えるかのようにノ・ヒギョンは運命のような作品KBS「嘘~偽りの愛~」を発表し、自身の名声を確かなものにした。ペ・ジョンオク、イ・ソンジェ、ユ・ホジョン主演で不倫を題材にした「嘘~偽りの愛~」は人間の内面の感性を緻密かつ深く描き出し、視聴者を戦慄させた秀作中の秀作だった。視聴率はあまりよくなかったが、韓国ドラマ史上初めて“マニア”を作り出した。彼女が韓国のマニアドラマの元祖という話を聞く理由はまさにここにある。

もう一つ注目すべき事実は、ノ・ヒギョンが「嘘~偽りの愛~」を通じて自身の“ペルソナ”ペ・ジョンオクに会ったということだ。あまりにも作品を愛したあげく「胸倉を掴んで喧嘩するほど神経戦を繰り広げた」という彼女らは「嘘~偽りの愛~」以来無二の親友であり、パートナーとしていい関係を続けている。ペ・ジョンオクはこの縁で「バカな愛」「花よりも美しく」「私たちを幸せにするいくつかの質問」「その冬、風が吹く」までノ・ヒギョンが執筆したほとんどの作品に出演した。

視聴率とは縁がなかった“ノ・ヒギョンドラマ”

写真=SBS
このようにノ・ヒギョンは充実なマニア層を基に毎回話題を呼び起こす脚本家ではあるが、視聴率とは縁がなかった。SBS「華麗なる時代」やKBS「花よりも美しく」くらいがそれなりに一般的に知られた作品だ。トップスターたちが最も一緒に仕事してみたいと思う脚本家の1人で、韓国でかなり高い原稿料を受ける彼女が自信を持って言えるヒット作が一つもないことは、驚くべきことで面白いことでもある。

“ノ・ヒギョンドラマ”の低視聴率は1999年「愛の群像」から本格的に始まった。ペ・ヨンジュン、キム・ヘスなど、めったに見ないトップスターをキャスティングし、20%後半の高い視聴率で出発したこのドラマは第6話でライバル作から先を越されてしまった。当時「愛の群像」のライバル作は最高視聴率53.1%を記録したシム・ウナ主演の「青春の罠」だった。

2000年「バカな愛」の状況はより深刻だった。MBC「ホジュン~宮廷医官への道」と同時間帯に放送されたこのドラマは、第1話の視聴率が1.8%という衝撃的な結果となった。ノ・ヒギョンはこの視聴率を見て「10.8%なのに何かの間違いで0が抜けたと思った」とまで話した。愛国歌の視聴率よりも低いこの視聴率は、韓国ドラマ史上最低視聴率となり、いまだに壊れない記録として残っている。

この他にもイ・ミスク&リュ・スンボム主演の「孤独」、チョン・ジョンミョン&ユン・ソイ主演の「グッバイ・ソロ」、ヒョンビン&ソン・ヘギョ主演の「彼らが住む世界」、チョン・ウソン&ハン・ジミン主演の「パダムパダム 彼と彼女の心拍音」まで、でノ・ヒギョンのドラマはほとんどがヒット作とはならなかった。最高のスターが出演したにもかかわらず、実際の視聴率は低かったのだ。

このためノ・ヒギョンについて“視聴率から自由な脚本家”と評価する人もいる。だが、ドラマの脚本家は視聴率から絶対に自由になれない職業だ。ノ・ヒギョンも自身の著書「いま愛していない人、全員有罪」で低視聴率で悩んでいた時「ヒギョンさんのことを天がとても愛しているようだ。大きな人になれと。だから視聴率をくれないんだ」というナ・ムニの言葉が甘い慰めになったと告白した。

ノ・ヒギョン「その冬、風が吹く」で名誉回復を図る

このような状況で今回の「この冬、風が吹く」は、ノ・ヒギョンにとっていつにも増して重要な意味を持つ。これまでの不振を解消する絶好のチャンスであり、ドラマの脚本家として自身の興行力を再確認させる時点でもあるためだ。一応雰囲気は悪くない。除隊後初めて登場したチョ・インソンと5年ぶりにドラマに復帰するソン・ヘギョがいる。キャスティングだけ見ればライバル作を圧倒するのに十分だ。

放送局も全面的に支援している。大規模な制作発表会と試写会を行うだけでなく、頻繁に予告映像を広告として流している。ここに13日には2話連続放送まで行った。新しくスタートする水木ドラマ戦争でかならず勝ってみせるという意志の表明だ。昨年下半期からドラマでさほど人気を得なかったSBSが「その冬、風が吹く」に死活をかけたと言っても過言ではない。

ノ・ヒギョン自身も欲を捨てた。アシスタントを大幅に増やし、放送局と演出者が台本を修正できるようにした。助詞一つさえ変えられなかった台本を誇っていたノ・ヒギョンが、より大衆性のある作品を作るために多くの部分を譲歩したわけだ。「その冬、風が吹く」が前作より大衆性があるという期待もここから始まる。

だが、乗り越えるべき壁も高い。まず同時間帯に放送される他局のドラマを見ても決して運がよいとは言えない。MBC「7級公務員」が15~17%の視聴率を記録し市場を先取りしており、KBSはチャン・ヒョク&イ・ダヘを前面に出した「IRIS 2」でお茶の間を攻略する予定であるためだ。両作品とも、各放送局が心血を注いで編成した期待作であるだけに「その冬、風が吹く」としては激しい競争を免れない状況となっている。

水木ドラマ市場自体が冷え込んでいることも問題だ。昨年下半期最高の話題作の一つだったKBS「優しい男」さえ視聴率20%の壁を越えず終わるほど、最近水木ドラマのほとんどは苦戦している。「その冬、風が吹く」としては限られた視聴率を巡って激しく競争する一方で、テレビから離れた視聴者を取り戻す負担まで強いられることになった。

このように期待と憂慮が交差した今の状況で「その冬、風が吹く」は果たしてどれほどの成績を収めるのだろうか。「ドラマは必ず面白くならなければならない。あえて面白くないものをこのつまらない世の中で書く必要があるのかと思う」と言ったドラマ脚本家ノ・ヒギョンが、今度こそこれまで待ち望んできたヒット作を作り出すことができるのだろうか。とても気になる。

記者 : キム・ソンギュ 写真 : イ・ジョンミン