「いとしのソヨン」イ・ボヨンでなければならない理由

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写真=KBS
最初は誰も予想できなかった。KBS 2TV「いとしのソヨン」(脚本:ソ・ヒョンギョン、演出:ユ・ヒョンギ)が、前作「棚ぼたのあなた」(脚本:パク・ジウン、演出:キム・ヒョンソク)が積み上げた記録をこうも早く更新するとは。

イ・ソヨン(イ・ボヨン)とイ・サムジェ(チョン・ホジン)の再会を描いた20日の「いとしのソヨン」第38話は、42.2%(ニールセン・メディアリサーチ集計)の視聴率を記録した。これは「棚ぼたのあなた」が最終回(58話)で記録した最高視聴率(45.3%)に迫る数値だ。最高潮に達した「いとしのソヨン」が「棚ぼたのあなた」の記録を超えるだろうという予想には、異論がない。

「いとしのソヨン」の成功には、タイトルロールであるイ・ソヨンとイ・ボヨンのシンクロ率が大きな役割を果たしている。時にはイ・ソヨンを理解できない視聴者から激しい叱咤を受けることもあるが、一寸も乱れずにイ・ソヨンを演じているのがイ・ボヨンだ。TVレポートは、21日午前、イ・ボヨンと電話インタビューを行った。彼女は自身が演じる役だけでなく、ドラマ全体を把握していた。短いインタビューだったが、イ・ソヨンというキャラクターがイ・ボヨンでなければならないという確信を持たせてくれた。

―ようやくイ・ソヨンがイ・サムジェと出会った。多くの視聴者がイ・ソヨンの心境の変化に注目している。

イ・ボヨン:イ・ソヨンがイ・サムジェを直接見たのは9~10話以来、ほぼ30話ぶりだ。しかし、イ・ソヨンはイ・サムジェを恨む気持ちが依然として大きい。イ・サムジェによって嘘がばれた部分もあるためだ。このシーンは次回登場するが、イ・ソヨンを再び叱咤する視聴者も多いと思う。

―イ・ソヨンは、カン・ウジェ(イ・サンユン)に嘘をついた理由を言わない。そんなイ・ソヨンが理解できるか?

イ・ボヨン:言わないことが正解だと思う。理由を言えば、イ・サムジェを二度傷つけることになり、カン・ウジェに言ったところで本当だと理解してもらえないことをあまりにもよく知っている。ここにはカン・ウジェを愛するイ・ソヨンの気持ちが込められている。

―イ・ソヨンを見る視線は大きく分けて二つだ。一つは、どれだけ追い詰められて嘘をついたのか、もう一つは、それでも嘘をついて結婚するのは違うということだ。視聴者の立場なら、どちらか?

イ・ボヨン:私は決して視聴者の立場になれない。客観的に見られない。イ・ソヨンを見ると可哀想で、胸が痛む。「でも、親なのに、いないなんてどうして言えるの」という視聴者はとても幸せな人だと思う。イ・ソヨンは長い間辛いことを経験しながら、父を克服できる境界線を既に越えてしまった。

―イ・ソヨンは嘘のせいで、傷つけて、傷ついた人の気持ちを感じた。実際、自分が嘘のために困った経験はあるのか?

イ・ボヨン:そういうことがあれば、早めに言ってしまおうというタイプだ。早く怒られた方が気持ちは楽だ。それから、イ・ソヨンは嘘をついたわけではない。嘘をつく性格ではないと思う。父がいないと言っただけで、亡くなったと言ったことはない。その時のイ・ソヨンには、父がいない状態だった。保護してくれる保護者がいなかったという意味だ。父がいないことを、亡くなったと人々が誤解している事実を知った時も何回も説明しようとした。しかし、言うタイミングを逃した。

―イ・ソヨンが衝撃を与えなかったとしたら、イ・サムジェは変わっただろうか?

イ・ボヨン:ドラマだから変わったんだと思う。生きてきた人生があんなに長いのに、悪いことをしたからといってそんなに早く変われるものではない。母が亡くなった時も変わらなかったイ・サムジェだ。「いとしのソヨン」がドラマなので、良いメッセージを与えるために、イ・サムジェを変えたんだと思う。

―「いとしのソヨン」は今の成果を挙げるまで、タイトルが「私の息子サンウ」じゃないのか、ヒロインが変わったなど、色々言われた。かなり精神的に苦労したと思うが。

イ・ボヨン:苦労したことはない(笑) 週末ドラマを私一人で最初から最後まで引っ張っていけというなら、それは私を懲らしめたいというようなものだ。

―最も大変だったシーンを一つ選ぶとしたら?

イ・ボヨン:最初は多かったが、最近は第38話に登場したトイレで泣くシーン(カン・ウジェから、イ・サムジェがユ・マンホだったことを聞いてから衝撃を受けるシーン)が一番辛かった。短い時間にあまりにも集中したから、泣きすぎてお腹が空いてしまった(笑)

―その時のイ・ソヨンの感情は何だったのか?

イ・ボヨン:嘘がばれてから、人の目も見れないほど、あまりにも恥ずかしい状況で、カン・ウジェやイ・サムジェまで嘘を知っていたと言われた時、イ・ソヨンが受けた衝撃が複合的に現れた。ここ3年間、なぜそこまで恐れながら生きていたのかという、めちゃくちゃな気持ちまで、色々なものが重なって爆発したのではないかと思う。

―これから、どのような部分にフォーカスを当てて「いとしのソヨン」を視聴すればいいだろうか?

イ・ボヨン:「いとしのソヨン」は傷が多く、コミュニケーションもうまく出来ずに自分の中に閉じ込められたイ・ソヨンが世の中に出て行き、コミュニケーションをとりながら、自分と向き合って見つけていくイ・ソヨンの成長ドラマだと思う。そのためには、イ・ソヨンが自分の傷を克服するのが先だ。イ・サムジェとの和解、カン・ウジェとの愛はその次だ。イ・ソヨンとカン・ウジェ、みんな自分を振り返る時間が必要だ。ラブコメディのようなラブストーリーはその後になると思う(笑)

記者 : イ・ウジン