“生計型女優”コ・ヒョンジョン vs “全天候型スター”イ・ヨンエ

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この時代、女優が生きる“正反対”の方法

女優コ・ヒョンジョンのお茶の間へのカムバックが注目されている。コ・ヒョンジョンは、MBCドラマ「女王の教室(仮題)」で役者として再び挑戦する見込みだ。芸能界への復帰以降、神秘主義のマスクを脱ぎ捨て、ドラマ、映画、バラエティ、ラジオなど様々な分野で活躍した彼女は、今年も変わらず活発な活動を予告している。このようなコ・ヒョンジョンを見ていると、もう一人の女優が思い浮かぶ。それは、似たような“神秘主義”イメージを利用していた、イ・ヨンエである。

写真=MBC

スターイ・ヨンエ、神秘主義を語る

コ・ヒョンジョンとイ・ヨンエは、韓国を代表するトップスター級の芸能人だ。この二人の女優が出演を決めた作品は、ラインアップそのものが変わり、存在感も急上昇して、市場の構図も覆される。それにも関わらず、この二人の女優は“正反対”の形で韓国の大衆文化を象徴する。

イ・ヨンエは、“全天候型スター”だ。シム・ウナの引退以降、誰一人イ・ヨンエという名前を荒らすことはなかった。絶世の美女であるキム・テヒも、彗星のように登場したチョン・ジヒョンも、トレンディの女王ソン・ヘギョも、イ・ヨンエの牙城を崩すことはできなかった。それだけイ・ヨンエというブランドは、「宮廷女官チャングムの誓い」以降、韓国の大衆文化と韓流コンテンツを象徴する存在として定着した。

イ・ヨンエは、顔を人々に晒すだけで破壊力を持つスターだ。節制された言行と持ち前のマナーによる、周りを圧倒するカリスマ性は優雅ながらも節度がある。だから彼女は人々から隠れれば隠れるほど破壊力を持つ。徹底した神秘主義の枠の中で運営されるイ・ヨンエのイメージは、隠されたスターの魅力とは何かをよく体現している。

しかし、スターとして守らなければならない存在感とイメージが膨れ上がるほどに、身動きがとれなくなるというのは、非常に皮肉なことだ。人々の眼から隠された神秘のスターは、できるだけ演技をせず、ベールの裏に隠れている時に最も輝くからである。イ・ヨンエが作品活動をしなければしないほど、人々が彼女を渇望し、待ち焦がれる理由もここにある。

だからイ・ヨンエは、演技しない時が最も美しい。「大きなお世話よ」という台詞を飛ばしながらタバコをくわえる親切なクムジャさんも、水刺間(スラガン、王の食事を作る台所)で素直な笑顔を見せながら料理していたチャングムも、“スター”イ・ヨンエほど美しくはない。だからこそイ・ヨンエはスターだ。何もしなくても(ましては本業の演技までも)輝く、全天候型のスターなのだ。

写真=MBC

女優コ・ヒョンジョン、神秘主義を捨てる

スターであるゆえに輝くイ・ヨンエとは違い、コ・ヒョンジョンは根っからの“役者”だ。財閥との騒がしい結婚と離婚の過程を経て芸能界に復帰したコ・ヒョンジョンは、ドラマ「春の日」以降、徹底して脱神秘主義に乗り出した。彼女は、復帰するその瞬間からスターの持つ全ての権威と地位を床に置いた。これまで8年間、たった一度も人々の求める神秘的な女優として振舞わなかったのだ。

人々とマスコミは、コ・ヒョンジョンにシム・ウナの残像とイ・ヨンエとの現存を期待したが、反対に彼女は人々の中につけ込む“生計型女優”の姿を披露した。絶えず作品を選択し、ブラウン管とスクリーンを行き来しながら旺盛な活動を繰り広げた。これは2~3年に作品を1、2本やるかどうかという他のトップ俳優とは全く別次元のキャリアだ。復帰してからコ・ヒョンジョンが提示したのは、スターの香りではなく、凄まじく演技する役者の汗の匂いだったのだ。

彼女は、2005年「春の日」を皮切りに、ドラマ「キツネちゃん、何しているの?」「H.I.T. 女性特別捜査官」「レディプレジデント~大物」、映画「浜辺の女」「よく知りもしないくせに」「女優たち」「ミスGO」までおよそ9本もの作品に自分の名前を上げ、増しては自身の名前を掲げたトークショー「GO Show」をスタートさせた。その中でコ・ヒョンジョンは、アダルト雑誌を作る30代女性でもあったし、覇気溢れる女刑事にもなり、ヤヌス(ローマ神話の出入り口を守る神。2つの顔を持つ)の表情を持つ悪女でもあった。

コ・ヒョンジョンは作品、キャラクター、演技のためにスター性を捨てた。スターとして目指さなければならない多くのものを諦めることで、女優としての存在感を認められた彼女の現実は、イ・ヨンエとはまた違う地点から生きて行かなければならなかった女優の片面を見せてくれる。だからコ・ヒョンジョンは演技する時が最も美しい。

作品の外では、コ・ヒョンジョンは財閥家の嫁で、世間を騒がせた離婚女性に過ぎなかったが、作品の中でコ・ヒョンジョンは、人々を圧倒する魅力的な女優だ。「GO Show」で気さくな姿をアピールしていたコ・ヒョンジョンも、CMの中で優雅に微笑むコ・ヒョンジョンも、炎のように演技する“役者”コ・ヒョンジョンよりも美しくはない。だからコ・ヒョンジョンは演じる。演じることで輝く、真の役者だ。

コ・ヒョンジョンとイ・ヨンエ、この時代の女優の生き方

コ・ヒョンジョンとイ・ヨンエは、同時代を生きる最高のスターであり女優である。しかし、コ・ヒョンジョンは女優であるがゆえにスターとして存在することができ、イ・ヨンエはスターであるがゆえに女優として存在できた。コ・ヒョンジョンは演技することで自分を認めてもらい、イ・ヨンエは自分を隠すことで人々を魅了する。同じ時代、同じ時間、同じ空間を生きているが、あまりにも違う方法で人々を惹きつける彼女たちの存在感は、それで特別で、神聖でもある。

歳をとっても侵されないスター、イ・ヨンエ。歳をとるほど円熟になる女優、コ・ヒョンジョン。この二人の女優の“決定的な違い”が韓国大衆文化の方向性とマーケティング戦略をはっきり示していることを信じて疑わない中で、二人の女優の活躍が最後まで続くことを期待してみる。

記者 : キム・ソンギュ