「優しい男」ムン・チェウォン“ソ・ウンギの愛おしさ、感じましたか?”

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「ソ・ウンギは演じてみたかったキャラクター」

KBSドラマ「優しい男」のソ・ウンギ(ムン・チェウォン)は冷徹だ。変わらぬ表情でトゲのある毒舌をし、人を傷つけることも躊躇しない。さらに、4歳になったばかりの弟ソ・ウンソクにも冷徹な態度を取る。ハン・ジェヒ(パク・シヨン)の息子である腹違いの弟だからだ。

ムン・チェウォン(26)は愛おしい。小さな顔に可愛らしい表情。20代半ばという年齢から感じられる天真爛漫な性格から30代の女優に見える成熟した表情まで持っている。

このようなムン・チェウォンにとって、ソ・ウンギは難しいキャラクターであった。今までのイメージとはまったく異なった姿だったため、励ましの声よりも心配する声を多く聞いた。ムン・チェウォンは、このように心配していた人たちに「優しい男」のソ・ウンギを通して衝撃を与えた。

「優しい男」は、心配されていたドラマだった。「ごめん、愛してる」「このろくでなしの愛」「クリスマスに雪は降るの?」などを手掛けたイ・ギョンヒ脚本家と「普通の恋愛」で繊細な演出力を認められたキム・ジンウォンプロデューサーが手を組んだが、若い俳優者たちが、彼らの台本と演出についていけるかが不安視されていたのだ。結果は成功だった。ムン・チェウォンとソン・ジュンギの心を震わせる恋は、視聴者たちの枯れかけた感性に降るかのような、恵みの雨であった。

「撮影時間が長かったですね。6ヶ月間も撮影しました。普段、このようなドラマは2~3ヶ月で終わりますけど、今回半年も集中できたのは、運がよかったです。ソ・ウンギは本当に演じてみたかったキャラクターで、そのキャラクターにたくさんの応援をいただいて、感謝しています。夜遅い撮影も笑いながらできたと思います」

毒舌のソ・ウンギと愛おしいムン・チェウォンが出会った。もしかしたら、ソ・ウンギとムン・チェウォンの出会いは運命かもしれない。ソ・ウンギは冷徹さと愛おしさが共存しているキャラクターだった。愛おしさを隠すために冷徹な性格を前面に出したという感じがするほどだった。

「ソ・ウンギが記憶を失ってカン・マル(ソン・ジュンギ)を訪ねてからは、愛おしさをアピールすることが大事でした。『優しい男』は痴情があって、復讐や裏切りがありますけど、基本的には恋愛ドラマですよね。記憶を失ったことも大事でしたが、愛おしさは欠かせなかったです。記憶を失った後は(冷徹な面がなくなって)可愛くて愛おしくならなければなりませんでした。ソ・ウンギが記憶を失って何も分からない状況でもです」

ソ・ウンギはドラマの中で3回の変化を経験する。冷徹なソ・ウンギ、愛おしいソ・ウンギ、またもや毒舌を吐くソ・ウンギ。最初から一つの姿だけを演じるキャラクターであれば、他のドラマに登場したキャラクターとは変わらないが、このような変化をムン・チェウォンは魅力的に感じた。

「(記憶を失った後の)後半の姿だけでは面白くなくて、最初のソ・ウンギのキャラクターだけでも大変だったと思います。両方の姿があったので、この作品を選びました。後半の姿が出てから、キャラクターの純粋さを表現できたと思います」


「できる!という覚悟はなかったです」

ムン・チェウォンは前作「王女の男」で演技力に関して指摘されていた。発声が足りず、ドラマへの集中する上で妨害されたということだ。今回「優しい男」の撮影に入る前も、このようなムン・チェウォンの演技力に疑問を抱く人たちが多かった。結果、演技力への議論はなかった。まるで「私の演技力を見せてやる」と叫ぶように、ムン・チェウォンはソ・ウンギになりきっていた。

「演技者というものは、人に見られる職業ではありますが、作品を選ぶ時はあまり気にしていません。私がやりたいことを選んで、欲に忠実な方です。今回は『やってみせる』『ムン・チェウォンはできる』という覚悟はなかったです。今まで通りに私がやりたいキャラクターを選んだだけです(笑) 表現が難しいキャラクターについての怖さは、選んでから気づきますね」

それでは、この表現の難しいソ・ウンギというキャラクターは、どのようなところがムン・チェウォンにとって魅力だったのか。それは、ソ・ウンギにある男性的な一面だった。

「ソ・ウンギは女優になる前から求めていた、男性主人公たちによく見られるところが多いキャラクターでした。またそれだけではなく愛おしい面まであります。天然とも言えますが、記憶を失った姿が純粋に見えて、冷徹な性格とは違う姿が見えました。最後は純粋な姿で終わるキャラクターで良かったです」


「冷徹なソ・ウンギ、実際もそうだと誤解されると思いました」

「優しい男」のムン・チェウォンは“世界のどこにもいない冷徹な女”のようであった。表情も変えず、毒舌を吐く姿に恐怖さえ感じたためである。これについてムン・チェウォンは「実際の性格も冷たいと思われるのではないかと心配した」と話した。

「序盤のソ・ウンギは悪口も言うし、性格も荒い部分がありました。最初はポケットに手を突っ込んでいる姿をコンセプトにしました。そうすると、現場でも周りの人から、私のことを冷たく感じるのではないかと気になりました。現場で演技をする時は、感情をずっと保つことも大変ですが、監督のカットサインが出た後はスタッフと仲良くしようと努力しました。今までの作品の中で一番やんちゃにしてたと思います(笑)」

「優しい男」は基本的に哀しいロマンスドラマだったが、甘いシーンも多かった。特に、ソ・ウンギとカン・マルが一緒にいるシーンでは、視聴者たちは心が温かくなった。ムン・チェウォンが思う最も甘いシーンは何だろう。

「最後のシーンが一番甘かったです。カン・マルとソ・ウンギが統営(トンヨン)で出会い、普通の恋愛を始めます。視聴者たちにはドラマが最終回を迎えると終わりですけど、演技者たちはその後の話を想像したりします。もう一つは、ソ・ウンギとカン・マルが日本でキスをしているシーンです」

最後にムン・チェウォンは今後のプランを伝えた。彼女は「多作を考えたことはありません。良い作品が重要だと思います。少し休んでからまた良い作品に出会いたいです」と話した。

記者 : イ・ウンジ、写真 : クァク・ギョンフン