Vol.1 ― チェ・シラ「『蒼のピアニスト』で時代劇女優のイメージを脱ぎ捨てました」

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チェ・シラ。その名前だけで信頼感を与える女優である。1991年MBCドラマ「黎明の瞳」で一躍スターダムに駆け上がったが、これまでチェ・シラは誰よりも着実かつ堅実な活動を続けてきた。

今年でデビュー28周年を迎えた彼女が、SBS週末ドラマ「蒼のピアニスト」で評価される演技力を発揮した。「蒼のピアニスト」は麻薬事件で世間を騒がせたチュ・ジフンの復帰作、放送前のT-ARAウンジョンの降板など、様々な悪材料とともに、やや憂鬱でどろどろした展開という批判もあったが、チェ・シラという女優がいたからこそ目的地へ巡航することができた。

「母性愛に惹かれて『蒼のピアニスト』に出演しました」

ソウル江南(カンナム)区論硯洞(ノンヒョンドン)にある、チェ・シラの夫キム・テウクが代表を務めている「iWEDDING NETWORKS」で彼女に会った。チェ・シラはカリスマ性溢れる女優であるはずという世間の先入観とは違って、おしゃべりと写真撮影を好む女優だった。全60話のJTBC「仁粋大妃」に続き、全30話の「蒼のピアニスト」まで演じきったが、チェ・シラは依然としてエネルギッシュだった。

「『蒼のピアニスト』が終わり、『愛の実』の広報大使を務めているため、青瓦台(韓国の大統領官邸)で実のバッチをつけたり、明洞(ミョンドン)で『愛の温度塔』のイベントにも出席しました。映画『マイPSパートナー』の試写会にも参加し、たった1日しか休めなかったんです(笑)」

チェ・シラは、「蒼のピアニスト」が掲げていた“母性愛”に惹かれて出演を決めた。息子に対する愛が度を過ぎ、悪い行動や振舞いをしながら疑問を生み出したが、彼女ならではの演技力で演じきった。

「途中で大変なこともありましたが、何の事故もなく最後までよくやり遂げ、有終の美を飾ることができました。キャスティングされたときは、強いイメージは排除し母性愛だけを見せる役と言われましたが、そうではなくて辛いこともありました。しかし、船はすでに出発し、楽しく見てくださる視聴者の方々もいらっしゃたので、私が早くヨンランの立場を理解して受け止めなければならなかったんです。実際の性格はドラマの人物とは違います。演技をしながらなり代わって満足と喜びを感じます。楽しいです」

期待していたほど視聴率が出なかったことに対する物足りなさも消すことはできなかったが、チェ・シラという女優の新たな魅力を見せることができたという点から収穫はあった。

「一番大きな成果は、前作『海神-HESHIN-ヘシン』『仁粋大妃』など、続けて時代劇だけに出演していたので、そういうイメージが強かったんですが、今回の作品を通して全て脱ぎ捨てることができたことです。久々にチェ・シラの都会的で洗練された姿を見せることができました。子どもを二人産んでも、洗練されてかっこいい姿を見せることができて嬉しかったです」


「(チュ・)ジフンが、ずっと“お母さん”と……」

先月25日、「蒼のピアニスト」の最終回が終わった後、視聴者たちが感じたのは胸がいっぱいになる母性愛、ヨンランがかわいそうということだった。劇中ヨンランは、息子のジホ(チュ・ジフン)とインハ(チ・チャンウク)のためにすべてを捧げる母親の姿そのものだった。実際チュ・ジフンとチ・チャンウクは、チェ・シラのことを「お母さん」と呼びながらキャラクターに入り込んだ。

「ジフンは初めて出会ったときからすごく自由な姿を見せてくれたので、緊張もせずに気楽にあいさつしましたが、チャンウクは私のことをちょっと気まずく感じたみたいです。30代と20代の違いですかね?(笑) 今は二人とも親しくなりました。会うとハグをしながらあいさつをし、撮影の間はずっと母と息子のように過ごしました。私を『お母さん、お母さん』と呼んでくれて、姉さんっぽい母親の感じがよくて、私も『息子』と呼びました。打ち上げのときにチャンウクは、『もう姉さんって呼べるでしょうね』と話しましたが、ジフンは依然と『僕はお母さんがいいな』と話していました」

チェ・シラはこれまで約30本の作品に出演した。彼女には“スターダム”という言葉より“堅実”という言葉がもっと似合う。“信頼して見ることができる女優”チェ・シラの今後の活動も、これまでと変わらないだろう。

「運命が私を女優になるように導いたと思います。そう決まった道だったので、やりながら根性もできて、努力もするようになり、楽しみとやり甲斐を感じ、現在に至りました。今の作品にベストを尽くし、また次の作品があればそこでベストを尽くし、そうやってひとつひとつ積み重ねながら今の私になりました。今後は現代劇でアクションやコメディなど、演じたことがないキャラクターを演じてみたいです。そして、後輩たちに『あの先輩のようになりたい』と言われるよう最善を尽くさなければならないでしょう」

12月を迎え、年末の授賞式に対する関心が高まっている。チェ・シラはこれまで、新人賞をはじめ、3度の大賞、4度の最優秀賞をもらっている。授賞式の女王チェ・シラが今年2本の作品に出演したということで、ファンは年末にチェ・シラが授賞式でドレスを着る姿を期待している。

「賞はたくさん受賞しましたし、授賞もたくさんしました。今年も一生懸命活動した分、出席するつもりです。結果は見てみないとわからないですね。賞にこだわって、賞を目標にして演じる俳優はいないと思います。すべての俳優たちが、自分が演じた作品が最高だと思いながら臨むので、受賞に対してはプレッシャーを感じないのがいいと思います」

記者 : チェ・ドゥソン、写真 : ハン・ヒョクスン