韓国映画の全盛期、青龍映画賞は誰の手に?

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最優秀作品賞と監督賞、「王になった男」と「嘆きのピエタ」の一騎打ちになるか

先月30日に開かれた第49回大鐘賞映画大賞が話題になりましたね。「王になった男」が15部門で受賞したことが原因ですが、そのためか今年の青龍映画賞に期待が高まっているのも事実です。ちょうど今年韓国映画が1億人の観客動員数を記録し、大人気となりましたが、決算も兼ねて受賞作と受賞者を予測してみました。/編集者

写真=パレートピクチャーズ

脚本賞:「悪いやつら」ユン・ジョンビン

脚本賞候補の中で有力視されている人物は、「建築学概論」のイ・ヨンジュと「悪いやつら」のユン・ジョンビンです。「建築学概論」の脚本も良いですが、興行成績と話題性においてそれらの映画より先に公開したために観客からの声援に比べて受賞が少なかった「悪いやつら」に与えられる可能性が高いです。慰めるためにというよりは、実際「悪いやつら」の脚本は本当に面白く書かれています。実際読んでみると、最初のシーンから夢中になってしまう程です。ユン・ジョンビンは「悪いやつら」の監督も兼ねています。

美術賞:「ウンギョ」キム・シヨン

美術賞は「ウンギョ」と「王になった男」の対決になると思います。「王になった男」が受賞する可能性が高いですが、個人的には「ウンギョ」の肩を持ちたい心があります。多少扇情的なマーケティングと観客の偏見などにより、適切に評価されていないようにも思われますが、温かく美しく表現されたシーンに目を楽しませてもらいました。撮影と美術パートの貢献のおかげです。

音楽賞:「建築学概論」イ・ジス

「建築学概論」のイ・ジスが音楽賞を受賞しそうです。90年代に大学生たちの胸を打った展覧会(チョルラムフェ)の「記憶の習作」も良かったですが、この他にも「建築学概論」に熱中させた音楽の数々が思い浮かびます。最初のシーンで、ソヨンがまだ建っていない済州島(チェジュド)の敷地を歩くときや、若いソヨンが授業に遅れてキャンパスを走る時、そして後でスンミンが建て終わった済州島の家を見回す時流れたBGMは、OST(オリジナル・サウンドトラック)を欲しいと思わせるほど、穏やかな魅力で溶け込んでいたと思います。

撮影賞:「10人の泥棒たち」チェ・ヨンファン

「10人の泥棒たち」は、面白い台詞に多くのスター俳優の出演で人々を楽しませ、興行成績の面でも今年初めて1千万人を突破した映画になりました。映画を観ていると、撮影に苦労したろうと感じられる高難度のアクションもありますし、感覚的な編集になっているので、撮影量も多いことが推定できます。特に、韓国と海外を行き来しながら撮影する厳しさも予想できます。

新人女優賞:「ハナ~奇跡の46日間~」ハン・イェリ

実際には「『建築学概論』のmiss Aスジか、『ウンギョ』のキム・ゴウンか」になるでしょう。二人のどちらが受賞しても納得できますが、個人的には「ハナ~奇跡の46日間~」のハン・イェリに一票を投げたいです。卓球の南北朝鮮合同チームで、北朝鮮側の幼い選手ユ・スンボク役を演じた彼女は、スジやキム・ゴウンのような“初恋”という良いイメージも、新人としては挑戦しがたい露出の演技というプレミアムもなく演技に臨みましたが、優れた結果となりました。キョン・ジョンファとリ・ブンヒの間で足かせになりがちがキャラクターですが、憎らしくなく大切な人物に見え、自然に北朝鮮の人を演じ切りました。

新人男優賞:「建築学概論」チョ・ジョンソク

候補の中には「悪いやつら」キム・ソンギュンがいます。彼が受賞する可能性もあります。「隣人」での受賞ではありますが、すでに大鐘賞では彼が受賞しています。「怖い話」のユ・ヨンソクも受賞に値します。実のところ、ユ・ヨンソクこそ今年の映画界で相当な活躍を果たしており、どの賞であれ彼を讃えたい気持ちでいっぱいです。しかし、「建築学概論」のチョ・ジョンソクに心が傾きます。いや、チョ・ジョンソクよりは「ナップトゥギ」に情が湧くとでも言いましょうか。大鐘賞では受賞できなかったので、今回は受賞できるのではないでしょうか。

助演女優賞:「10人の泥棒たち」ムン・ジョンヒ

今回の映画賞の予測で最難問でした。「ワンドゥギ」パク・ヒョジュ、「ダンシング・クィーン」ラ・ミラン、「隣人」チャン・ヨンナム、「ヨンガシ 変種増殖」ムン・ジョンヒ、「10人の泥棒たち」キム・ヘスクなど、皆韓国映画会の大黒柱のような女優たちです。そんな中から二人だけ選ぶなら、ムン・ジョンヒとキム・ヘスクでしょう。「ヨンガシ 変種増殖」の主演と知られていたムン・ジョンヒは、助演女優賞候補に上がっていますね。「10人の泥棒たち」キム・ヘスクの演技は、さすがのものでした。いつも“母”役に徹していましたが、ふしだらな泥棒の演技も、サイモン・ヤムとのロマンス演技もよくお似合いでした。

助演男優賞:「悪いやつら」クァク・ドウォン

「悪いやつら」クァク・ドウォンと「僕の妻のすべて」のリュ・スンリョンという二大山脈がありますね。二人共今年映画に出演してヒットし、最高の1年になったはずです。クァク・ドウォンは「悪いやつら」に続き、テレビドラマ「ファントム」と映画「漁村の幽霊 パクさん、出張す」「ある会社員」に出演し、大活躍しました。リュ・スンリョンも女性客の間で「チャン・ソンギシンドローム」を巻き起こし、「王になった男」でホ・ギュン役を無理なく演じ切りました。イメージチェンジだけをみたら、クァク・ドウォンの手を上げてやりたいところですが、人気の面ではリュ・スンリョンです。

主演女優賞:「嘆きのピエタ」チョ・ミンス

「嘆きのピエタ」のチョ・ミンスが確実視されます。「嘆きのピエタ」を観た人なら、彼女の登場からイ・ジョンジンを送る結末の部分まで、簡単には忘れられないと思います。彼女が演技しながら見せた“エネルギーの饗宴”をです。誰もが演じられるわけではない役柄を演じたチョ・ミンスは、それまで抱えていた実力を遺憾なく発揮しました。彼女がいて始めて、「嘆きのピエタ」は輝くことができました。これは多分、「嘆きのピエタ」の作り手たちも、「嘆きのピエタ」に金獅子賞を贈ったベネチア映画祭側も理解していることだと思います。

主演男優賞:「悪いやつら」チェ・ミンシク

その名も轟く候補者たちです。「折れた矢」アン・ソンギ、「悪いやつら」チェ・ミンシクとハ・ジョンウ、「王になった男」イ・ビョンホン、「ワンドゥギ」キム・ユンソク。どうしても「悪いやつら」のチェ・ミンシクに最終的には視線が行きます。もちろん、アン・ソンギとキム・ユンソクも見事な演技を見せてくれました。この3人は、韓国でいわばメソッド演技(自分を空にして役に入り込む演技)がうまい、稀な俳優たちです。候補者たちが強すぎるので、実際の結果はどうなるか予測しがたいですね。

監督賞:「王になった男」チュ・チャンミン / 最優秀作品賞:「嘆きのピエタ」

二部門が残りました。一般的な映画祭では、一つの素晴らしい作品が作品賞と監督賞を一緒に受賞することもあります。今年韓国映画界が最高の興行成績となりましたが、様々な部門を総なめにするほどの“圧倒的な優越作”があったというよりは、良い作品が複数本出てきたと言うべきでしょう。

「折れた矢」チョン・ジヨン、「10人の泥棒たち」チェ・ドンフン、「嘆きのピエタ」キム・ギドク、「悪いやつら」ユン・ジョンビン、「王になった男」チュ・チャンミン。今回の青龍映画賞の監督賞と作品賞の候補は同じです。どうしても、一つの作品が受賞することはなさそうです。世界的な映画祭で認められた「嘆きのピエタ」と、1千万人の観客を動員した「王になった男」が監督賞と作品賞を分け合うのではないかと予想されます。

一方、「折れた矢」のチョン・ジヨン監督は、「中堅監督の帰還」を成し遂げた点で韓国映画界の大事な存在であることを証明しました。1千万人を超えた「10人の泥棒たち」のチェ・ドンフン監督は、韓国商業映画の底力を見せたことに点数を与えたいです。

30日にソウルの世宗(セジョン)文化会館で開かれる第33回青龍映画賞は、午後8時50分からSBSで生中継されます。

記者 : ソ・サンフン