【ドラマレビュー】ドラマについて知りたいなら「ドラマの帝王」を見よう

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「ドラマの帝王」芸能人の飲酒運転と記憶喪失を風刺

ドラマを見ていると時々、いくつかの疑問が生じることがある。キャラクターのイメージと合わないスターがキャスティングの場合がそうで、人々の声に反したり、ネガティブな世論にも関わらず、問題を起こした俳優にこだわる場合も「どうして?」と疑問に思う。

26日に韓国で放送された「ドラマの帝王」第7話は、その疑問を解決するに十分だった。いわゆる「スターの飲酒運転」事件を風刺しながら始まったこの日のエピソードは、世論や人々の声が、状況によって如何に変わることができるかを見せ、我々がよく言う“マスコミプレイ”(マスコミを利用して世論を形成する方法)や“感性売り”など、芸能界で頻繁に見られる多様な姿を取り上げた。

それを解決していく過程において、必然的に誇張するしかない「ドラマ的装置」を勘案しても、改めてドラマをしっかり“勉強”できる時間だったが、前回のエピソードでスター俳優のキャスティングに関する裏話、PPL(Product Placement:テレビ番組や映画に特定会社の商品を小道具として登場させること)、ページ単位で渡される台本などを、ありのままに描いたという点から見ても、「ドラマの帝王」はまさに「ドラマの教科書」と呼んでも良さそうだ。

この日の放送で最も印象的だったシーンは、飲酒運転によりドラマ降板の危機に追い詰められたトップスターカン・ヒョンミン(SUPER JUNIOR シウォン)が、アンソニー・キムの知略により、再び同情の世論を導いた部分だ。これは事件の裏に隠された真実よりも、事件がどのように報道されるかによって左右される人々の声に対する痛快な告発のようだった。

アンソニー・キムは、カン・ヒョンミンの飲酒運転の“事実”を変えられないのであれば、その裏に隠された“真実”を操作しようと思った。カン・ヒョンミンが単純に監督と意見の食い違いでもめる過程でお酒を飲んだのではなく、人々の同情と理解を得られる理由でお酒を飲んだとすれば良いというのがアンソニー・キムの考えだ。彼は飲酒運転事故当日、カン・ヒョンミンの母が腹痛で救急室に運ばれたことを知ると、本格的な操作に入った。

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カン・ヒョンミンが病院にいる母を訪ねると、すぐ母が危篤との知らせに、仕方なく飲酒運転をすることになったとの記事が報道された。記者会見で涙を流すカン・ヒョンミンの姿まで加わると、カン・ヒョンミンを叱咤していた世論は一瞬にして、彼を同情する声に変わった。人々の理解と応援のなかで、結局ドラマからの降板はなかったことになった。

少し考えれば、いくら忙しいからと言っても、タクシーに乗ったり、代理運転サービスを利用できるだけに、“飲酒運転”は許せないことである。しかし、スターの良い面だけを見ようとする“ファンの心”と、雰囲気に流される世論と人々の声に後押しされ、カン・ヒョンミンは飲酒運転の“加害者”から、推測記事で悪者になってしまった“被害者”に、一瞬にして変わる。「元気出して!ドラマ頑張って」などの書き込みに、思わず失笑してしまうのは、このドラマのエピソードが徹底して現実に基づくものだからだ。

実際の芸能界でも頻繁に発生するスターの飲酒運転事故と嘘、そして偽りの塗り固め、マスコミプレイなどの題材は、気になるレベルを超え、不快感までも覚える。また、これからバラエティやマスコミのインタビューで涙を流すスターたちの姿を、いったいどこまで信じるべきかという“不信”さえも生み出すようだ。

この日の放送はまた、カン・ヒョンミンの飲酒運転事故の現場で、車に引かれて気を失ったイ・ゴウン(チョン・リョウォン)を通じて、韓国ドラマに蔓延している“記憶喪失”も批判した。引かれてからなかなか意識を取り戻せなかった作家イ・ゴウンが、目が覚めてからもアンソニー・キムを思い出せず、アンソニー・キムは途方にくれた。意欲的に準備するドラマ「京成の朝」は、イ・ゴウンにしか書けないドラマだからだ。

幸いにもイ・ゴウンは、アンソニー・キムをからかう為に演技をしただけだった。それも知らずイ・ゴウンにした自身の悪行を全て告白したアンソニー・キムは、言葉を失ってしまった。「騙された気分はどうだ?」と訊くイ・ゴウンに返したアンソニー・キムの返事が印象的だった。彼は「ドラマ制作経歴10年の間、記憶喪失は100回以上使ってきた」とし、「記憶喪失」がどれだけ陳腐な題材なのかを、遠まわしに批判した。

このように、この日の「ドラマの帝王」は、コミカルな設定とユーモアを掲げ、ドラマの属性を一皮剥くことに成功した。冒頭で言及したように「ドラマの帝王」をきちんと見るだけで、我々のドラマに対する理解度が更に深くなると思われる。

ドラマに対して詳しく知りたいのか? ドラマのことを知りたい? 知りたいなら500ウォン…ではなく、「ドラマの帝王」を見てほしい。

記者 : パク・チャンウ