SUPER JUNIOR キボムの反撃が始まった…“イケメンスター”ではない

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“2012年の発見”第2弾「欲張りだった僕…今や演技自体が大事だ」

彼に“発見”という修飾語をつけるには何か違和感がある。それもそのはずだ。SUPER JUNIOR キボムは既にKBS 2TV「4月のキス」(2004年)で子役としてデビューして以来、10本近い作品に出演した俳優だからだ。当時最高のアイドルグループSUPER JUNIORのメンバーという点が、さらに大きな存在感を与えたからかも知れない。

しかし、恐れ多くも、キボムに“2012年の発見”という修飾語をつけたい。事実上、初主演ドラマtvN「I LOVE イ・テリ」で、14歳の少年の純粋さと25歳の青年の真面目さを行き来しながらドラマをリードしたお陰だろう。時には天真爛漫で、時には真面目なその眼差しは、ドラマへの集中力を高めた。彼もまた「すごく愛着のある作品」とし「『根の深い木~世宗(セジョン)大王の誓い~』(以下「根の深い木」)のときもそうだったが、未だ後遺症が長引いているようだ」と感想を伝えた。

初主演ドラマ…「中途半端にしたくは無かった」

「新しいものを作ってみたい」との思い、そして「俳優として挑戦したい演技だった」という思い。作品を選択したきっかけは単純だった。主人公クム・ウンドンが、少年の体と大人の体を行き来するとの設定も興味深かったし、ファンタジー的な設定があるという点で魅力を感じた。そのようにして選択した作品は、いざ入ってみると思ったより大変だった。

まず、最初の人物設定から悩み続けた。「14歳の僕がどうだったかを考えてみると、ただ子供だったと思い、クム・ウンドンもやはり子供っぽく演じよう」としてからも、ヒロインとのロマンスを考えてみると、実はそうでもなかった。またロマンスに重きを置くと「他のドラマと違いがない」と言うのが悩みだった。

わざと町を歩きながら子供たちの会話を盗み聞きしたり、中学校の運動場にも行ってみたりしたキボムは、最終的には「馴れ馴れしく、選手のような感覚ではなく、初恋の感覚にしたかった」とし「大人になった体に馴染み、彼らの世界を理解しながら変化を与えるが、最初は子供のようにしたほうが良い」との考えを固めるようになった。ただ作品の大きなコンセプトである「初めて恋をする、純粋で運命を信じる」ということだけは見せようと努力したという。

「中途半端にしたくはありませんでした。立派にしたかったです。そこで2ヶ月くらい、監督とキャラクターについて話し合いました。監督の作業室が僕の家から5分離れたところにありました。わざと訪ねて監督の隣で台本を読んだりもしました。そのように事前に打ち合わせをしておかないと現場で不便になると思ったからです」

このようにしっかり基礎を築いたことで、キボムは「撮影開始前からキャラクターに対する確信があり、途中ではあまり困った事が無かった」とし「ただ、最初考えていたクム・ウンドンをそのまま維持し、変化する部分もあるが、14歳が表現できるかっこよさを探すために努力した」とした。幼稚過ぎないように、しかし女性視聴者の共感を得るために努力した結果「I LOVE イ・テリ」のファンタジーは説得力を得て、維持されたと言えるだろう。

“台詞だけ覚えていた”彼、“絵を描く”演出家になるまで

作品での経験は俳優を成長させる。キボムも例外ではない。彼もまた「I LOVE イ・テリ」を通じてさらに奥深くなった。特に最初にキャラクター設定のために悩んだ部分が、キボムには大いに役立った。彼は「キャラクターを作る作業に、もう少し真面目になったと思う。些細なことだが、歩き方だとか、走る姿、口調、台詞のトーンのようなことまで考えるようになった」と答えた。

「キャラクターについて考えることがどれだけ大事なのか、改めて感じました。キャラクターに対して何も考えず演技するのが、現場でどれだけつまらないものなのかも分かりましたし。今回はとても楽しく撮影しました。現場に早く行きたいと思うくらい。『早く行って、僕が準備したものを見せたい』と思うくらい準備をしておくと、自信がつき、楽しく演技をする準備ができたような気がしました」

彼はキャラクターについて悩むことを、絵を描くことに例えた。過去のキボムはインタビューで「ボールペンを口に咥えた状態で発音練習をした」と明かしたほど、演技の精巧さと正確さに集中する俳優だった。彼もやはり「視線処理や発声、発音、表情の練習に集中したと思う」と思い返した。しかし今は違う。台詞練習の代わりに頭の中でシーンを想像する回数が増えた。劇をリードする経験を積んだお陰だ。視野の広い俳優としての第一歩を踏み出したことになるだろう。

「『I LOVE イ・テリ』の時には、台詞を前もって覚えておいて、どのように動くべきか、頭の中で演出することが多かったです。台詞をどのように話すかを考えるよりは、相手の言葉を聴いて答えるような演技をしようとしたのです。これはハン・ソッキュ先輩から教わったものです。先輩は現場に前もって到着して、ずっと歩き回ります。『何をされているんですか?』と聞くと『絵を描いている』と言われました」

演技という作業を通じて、デビュー10年目近くになるキボムの価値観にも変化が起きた。最初「目立つよりは静かに暮らしたほうが良いとの思い」で、それなりに“神秘主義”を守ってきた彼は、演技を通じて世の中に出る方法を身につけた。「経験が演技に役立つかもしれない」と思い始めてからだ。先入観を破るには、ある人のアドバイスが役立った。
「僕が尊敬する先輩からある日『君は人に接するとき壁が感じられる。まずそれを崩すことだ』と言われました。僕があまりにも閉じこもっていると多彩な演技ができないと。しかし、本当にその通りでした。毎回重い役割、格好いい役割ばかりするわけにはいかないじゃないですか。そうしたいわけでもありませんし。その時から、人と接するとき、わざと自分から話をかけ、遊んでみようと思うようになりました。家に閉じこもるよりは、より広い世界に身を置くことによって、この生活に役立つのではないかと思うようになったのです」

現場が怖かった彼…「なぜ演技をしているか、やっと分かった」

大事なことを教わったキボムは、余裕を覚えた。全ての経験がいつかは役に立つとの思いで、先に線を引いたり、ダメだと言って退いたりもしないという。「したいことも、欲しいものも多かった」時代を経て、今自分自身が演技をしていることだけでも本当に嬉しいというのが今の感想だ。「若いときは全てを成し遂げようとしましたが、今はあえてトップスターにならなくても、演じることの大事さが分かりました。韓国でしたいことをしている人が、果たして何人いるだろうと思うと、恵まれているとも思いますし」

インタビューでキボムは「今までした演技の中で最も難しかったことが“イケメン”演技だったと告白した。“イケメン”の代名詞に挙げられる彼が“イケメン”を演じることが難しいとは、一瞬理解できなかった。しかし、その中には「多様なアイデンティティを持つ演技をしてみたい」という、俳優としての欲張りがあった。ある現場で「イケメンのように!」と指示され、「それがどんなキャラクターで、どんな職業なのかも分からず大変だった」とする彼は「まだ演じたキャラクターが少ないので、したいことはいくらでもある」と意欲を見せた。

「映画もしてみたいですが、僕はとても冷静なので(笑) まだそのときではないと思います。映画館で僕の名前があったら、僕は多分見ないと思います。まだ俳優としての信頼が足りないと思います。ハン・ソッキュ先輩も映画を選ぶとき『あの人がどのように演じるのか』を見るのも面白いとおっしゃったことがありますが、僕はそのような部分が他の先輩たちに比べ足りないのではないかと思います。最近は30歳になる前までに、どれだけ奥深い演技ができるのかと悩んでいます。30歳になってもまだまだのような気がします」

なりふり構わず「現場の家族のような雰囲気が好き」と、役者としての活動を始めたのが2004年。一定期間、いつも通り準備をして作品に出演しているが、何か違和感がある。何も知らない状態でいつも『キボムだ』という気がして迷ったときもあった。しかしキボムはその時間を無駄にするよりは、演劇の舞台と映画を経験しながら反撃を狙った。そして苦い忍耐を経た彼に、甘い努力の結実が訪れ始めた。キボムの舞台はこれからが本番だ。

「やっと、なぜ自身が演技をしているのか、何が面白いのかが分かりました。絶えず仕事をし続けていたとき、現場に行くことが怖いときもありました。『台本はどうしよう、叱られたらどうしよう、初放送後、評価が悪かったらどうしよう』など不安でいっぱいでした。今やそういった経験をたくさんして来たせいか、あまり心配したりしません。キャラクターの表現にも少しながら自信がつきましたし。

今までは台詞にのみ集中していたとすれば、今はキャラクターを作り、表現すること自体が好きです。昔は自信に満ちていた時期もありましたが、そのときは自らを“俳優”だと思いました。しかし『根の深い木』に出演しながら、ハン・ソッキュ先輩と出会い、僕の考えはがらりと変わり、その後は『また基礎に戻ろう』と思うようになりました。その心は生涯維持する必要があると思います」

記者 : イ・ジョンミン、イ・ミナ 写真 : イ・ジョンミン