“芸術家”ク・ヘソンの探求生活…「女優ク・ヘソンは単色」

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演技、演出、芸術、音楽まで……止まらないク・ヘソンの創作

映画「桃の木」のク・へソン監督。小品集など、数枚のアルバムを出した音楽家のク・ヘソン。「芸術の殿堂」にあるハンガラム美術館で展示会を開いた画家のク・ヘソンまで。それこそ総合芸術家という言葉が相応しいようだ。多様な才能で人々と交感しているク・ヘソン。その感性のルーツは果たしてどこにあるのだろうか。

ク・ヘソンの音楽、ピアノ曲にその始まりがある

ク・ヘソンの2本目の長編映画「桃の木」には、数曲のピアノ曲が流れる。よくニューエイジと呼ばれる演奏曲を始め、俳優のチョ・スンウや子役俳優が歌った童謡ふうの楽曲「桃の木」も聞くことができる。全9曲のOST(劇中歌)のうち、8曲をク・ヘソンが作曲した。

映画音楽が初めてではなかったが、今回の音楽は特別だった。通常シナリオが完成し、映画の撮影を終えた段階で音楽をつけてきたが、今回はク・ヘソンがシナリオを構想する段階から音楽も作ったという。

「パソコンで作成する前までは、話が頭の中だけにありますね。頭の中でずっと考えていましたが、そのときメロディが頭に浮かんできたんです。それで、すぐに楽曲を作りました。映画を作ってから音楽を選定する作業が非常に難しかったけれど、今回は一緒にしたわけですね。メイン音楽を作ってシナリオを付けました。映画の撮影が終わったとき、音楽への心配は減りました(笑)

俳優たちに歌を頼みました。私が作る曲はちょっとニューエイジふうですが、映画で音楽が重要なだけにストーリーのように一緒に行わなければならないと思いました。映画とともに音楽もできればいいけれど、私が曲を作ってみたらいくつかの曲は感情が入りすぎた感じがしました。次は、メイン曲一つだけを作成するつもりです(笑) 今回は作業の環境も劣悪だったし、私がするしかなかったんです」

ジャズとニューエイジの中間にク・ヘソンの感性があると見れば良いだろう。彼女の知人である女優のイ・ボヨンが今回の音楽を聞いて「これこそク・ヘソンの映画だね!」と言ったというエピソードを思い出せば、彼女の一貫した感性を察することができるはずだ。


女性的感性の映像、いつも学ぼうとした

彼女の美術に関する見識は、すでに放送を通じてよく知られている。幼いときから好奇心が強くて習いたいものがあれば条件を考えず習いに行ったという。絵において彼女に影響を与えた人は、近所のマンションの美術の先生、彫刻家カミーユ・クローデル、そして画家のイ・ジュンソプだった。

「幼いとき先生が私にイ・ジュンソプ画家の絵をたくさん見せてくれました。私のタッチを見て一番良い師匠になると思って見せてくれたわけです。私は、主に年上の方々と親しくなります。私より長く人生を生きた人を見ながら私の人生の道を作ってきたような気がします。学ぼうという気持ちもありましたが、本当に知っている分だけが目に見えてくるようです。

知らない方がいいとおっしゃる方もいますが、知らなくて気にしないことと知って考えてみることは違うと思います。沢庵(の着色料)が体に良くないことを知りながら食べることと知らずにそのまま食べることは違いますね。知ることは、それほど重要です。美術も知っている分だけ描けると思います。

また、色々と知識があってこそ世の中を面白く生きていくことができると言われますね。大人たちの話を聞くことが好きですが、それでも誰もが師匠になるわけではないと思います。尊敬される方々は、あえて誰かに教えようとしません。それが、本当の師匠だと思います。作家のイ・ウェス先生に会いに行ったとき、最初は本当に先生らしいのだろうと思いましたが、他人に対してとても心をオープンにしておられました」


女優ク・ヘソン「私は単色が表現できる女優」

事実、どうしてもク・ヘソンは女優というタイトルが一番馴染んでいるはずだと思った。女優は一番長くやってきたし、女優としての悩みが一番多かったと思ったためだ。

だが、実際ク・ヘソンは自身を表現する肩書きについてあまり動揺していないようだった。画家、作曲家、あるいは歌手や監督という肩書きについてク・ヘソンは「『私はまだまだ未熟なのに、それらしい人に作ってくれるんだ』と思う」と笑って見せた。

したがって、女優出身の監督、女優出身の作家という言葉にも特別な感情はないと言う。最近、長編映画「マイ・ラティマ」を演出したユ・ジテと短編映画を演出したユン・ウネにについては「それぞれ自身の人生をよく生きておられますね。そういう方々を見ながら私も私の人生をよく生きていかなきゃと思う」という。

「女優としてのク・ヘソンですか?私は私自身を見て、目立つ人だと思いました。本来共演する俳優と息を合わせながら演技しますよね。でも、モニターを見ると、なんとなく異質な感じがしました。俳優たちが一つになって演技しているのに私だけ一人かけ離れている感じがして。

これは、私の外見のせいかもしれません。誰かはそれを演技で乗り越えなければならないとアドバイスもしてくださいました。でも、世の中にはヤイロチョウ(八色鳥)もいるけれど、青い鳥も、白い鳥もいるはずです。私は、単色を表現する人だと思います。

20代前半には、もちろん私もヤイロチョウになりたかったです。それで、時代劇や色々なジャンルのドラマをしました。ジュリア・ロバーツさんやロビン・ウィリアムズさんを見ると、その方だけの特徴がありますね。何かハッピーなウイルスを与える感じです。自分を見たとき、ク・ヘソンは女優と言うよりは、ただの人間のク・ヘソンと認識されているようです。

誰かにはありきたりなイメージで食傷気味かもしれませんが、それが正しいと思います。韓国の俳優さんでは、チャ・テヒョンさんを見るとそのような感じがします。彼が出てくる映画は、すべて幸せになるような気がします。自分という服を脱ぎ演技への情熱を燃やす俳優もいれば、一筋で行く俳優もいると思います。私は、私が生きる方向性と一致する演技がしたいと思います(笑)」

記者 : イ・ジョンミン、イ・ソンピル 写真 : イ・ジョンミン