真っ直ぐな心を持つ青年チュウォンさん、誤解してごめんなさい ― コラムニスト チョン・ソクヒからの手紙

10asia |


KBS「キム・スンウの乗勝長駆」のチュウォンさんへ

“骨の髄まで真っ直ぐな青年”KBS 2TV「キム・スンウの乗勝長駆(スンスンチャング)」(以下「乗勝長駆」)の制作スタッフは、今週のゲストだったチュウォンさんにまるでKBSドキュメンタリー「人間劇場」の出演者に似合いそうな修飾語を付けてくれました。私も激しく共感せざるを得なかったのです。成長過程で道筋をそれたことも勉強のうちだと言って、友達と遊んだことが全てだというのは、信じられません。普段はお皿洗いをはじめ、家事も手伝っているようです。時々おつかいに行って終わるのではなく、旧正月やお盆になったら、兄と一緒にジョン(チヂミ)料理を取り仕切っているというチュウォンさん。新聞紙を敷き、ダンボールでガードした後、大きなフライパンを置いて、塩・コショウで下味をつけるとは驚きです。普通なら、ただフライ返しでひっくり返しただけでも「今回のジョンは全部僕が作ったよ」と見せびらかすだろうに、他の子供たちとはまったく違いますね。「羨ましくなったら負け」という言葉がありますが、今回は本当に羨ましい、“羨ましい”という言葉が番組を見ている間ずっと頭から離れませんでした。

役柄のイメージから、素っ気ない青年だと誤解していました

実は、KBS 2TV「乗勝長駆」を観る前までは、ただ明るく育った可愛い末っ子だと思っていました。でも、KBS 2TV「ハッピーサンデー-1泊2日」(以下「1泊2日」)に合流していなかったら、可愛いとは思わなかったでしょう。絶大の人気で高視聴率のまま幕を下ろした国民的ドラマ、KBSドラマ「製パン王キム・タック」の出演陣があるバラエティ番組に出演した時、チュウォンさんが隠れた魅力をちらっと見せてくれたことがあります。それでも、私は悪役の人と偶然街で出会ったら、殴ろうとするおばさんのように、ク・マジュンというキャラクターが持つ自己中心的な強いイメージのせいで、漠然と傲慢なところがある若者かもしれないと思っていたようです。その後も引き続き、KBSドラマ「烏鵲橋(オジャッキョ)の兄弟たち」や、KBSドラマ「カクシタル」と出演し心の温かい人を演じたけれど、素っ気なく振る舞う人物でしたね。そんな理由から可愛いには程遠い、むしろ話しかけにくい人だと思ってしまいました。

だけど「1泊2日」で見せてくれた色んな姿で、いつの間にか“国民の弟”“アイドル役者”と呼ばれるようになりました。今でも鮮やかに目に浮かびます。一番年上の兄キム・スンウさんの懐の中ですやすや眠っていたチュウォンさんのあどけない姿を見た瞬間、それこそ癒されました。私のような視聴者がかなり多いと思います。それにチュウォンさんはドラマのキスシーンでも細かいところまで真剣に悩み、心から相手役の方と接していて、演技をする瞬間だけは本当に恋をしていると、今でも10回以上も読んだ「ロミオとジュリエット」のような純粋な愛を夢見ているようです。幼いとき守りたかった崇高な愛が、歳月が経つにつれ変化していき、計算高い人間になった自分が嫌になったと、とうとう泣いてしまいました。既に世俗の汚濁に染まってしまったこのおばさんは、当惑してしまいました。チュウォンのように考えたら、私は何日も座り込んで泣き続けなければならないからです。1987年生まれの彼は1ヶ月半が経ったら27歳になるのですが、未だにどうしてこんなに純粋な心を保てるのでしょうか。

あなたは人間味あふれる俳優です

チュウォンさんは大学に入学したばかりの未熟な年齢でミュージカル「Spring Awakening(春の目覚め)」という作品を通じて一躍スターになりましたが、単に運が良くて配役を手に入れたわけではなかったのです。最初は主人公の代役としてキャスティングされたけど、絶えずひたむきに努力を続けた結果、舞台に上がることができたのです。もしかしたら、最後まで一度も舞台に上がることができなかったかもしれません。でも、1寸の誤差もない徹底した準備で、チャンスを掴むことができたのです。ドラマ「製パン王キム・タック」の時も撮影初日から一番に撮影現場に到着して、一日中撮影現場にいながら慣れなかった現場に適応しようと努力し、「烏鵲橋(オジャッキョ)の兄弟たち」で配役の比重が少し大きくなってからは、責任感を感じ率先して雰囲気をリードしようと努力したそうです。一生懸命になることが、一番難しいと打ち明けてくれたチュウォンさんの話、胸にジーンときました。人間味あふれる俳優になりたいと言っていましたが、もうすでに人間味あふれる俳優になっていると思います。バラエティ番組を通じて、そして一人の若者を通じて、こんなにたくさん学び、悟るのは難しいでしょう。優しくて真っ直ぐな心を持つ若者チュウォンさんの魅力を見つけ出してくれたKBS 2TV「乗勝長駆」の制作陣に、改めてこの場を借りて感謝の気持ちをお伝えしたいです。

チョン・ソクヒ(コラムニスト)より

記者 : チョン・ソクヒ、編集 : キム・ヒジュ、翻訳 : チェ・ユンジョン