「アラン使道伝」イ・ジュンギ&「シンイ-信義-」キム・ヒソン、作品ではなく“俳優がもったいなかった”

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写真=マイデイリー写真 DB
「作品はよかったのに、俳優が演じ切れなかったのはもったいないことだ」

ある映画制作者が、いわゆる“人気のなかった”作品に対する感想を明らかにする時に出た言葉だ。そう。完成度が低く、キャラクターを上手く演じきれなかった俳優たちが作品を台無しにした例は数多い。

そのため、映画やドラマ制作者たちは、俳優の前作とその興行成績について調べ、苦心の末にキャスティングを進める。このように俳優のスター性ではなく演技力、その俳優が持続的に活動できるのか、どんな作品ができるのかということは必要不可欠な条件だ。

演技力が裏付できない演技者は、“俳優”ではなく“スター”とでしか認識されない。CMで最高の待遇を受けていたトップスターAが、広告主の反対にもかかわらずイメージチェンジを図ったのもそのようなレッテルを捨てるためだった。

監督あるいは俳優も同じだ。「王の男」で観客1000万人を動員したイ・ジュンイク監督は、最近作品がヒットしないために挫折を経験しなければならなかった。ドラマのプロデューサーも、毎日出る視聴率からストレスを訴えたりする。

このように残酷な評価を受ける俳優と監督に比べ、作品の柱の一つである脚本家は死角地帯にいるのが事実だ。スポットライトは俳優と監督に比べてあまり当たらないが、いわゆるA級脚本家が稼ぐ金額は通常の俳優よりも多い。

だが、作品の失敗において、脚本家たちにはその責任が少ないのが事実だ。シナリオはよかったが、それを現場でカメラに収める制作陣と俳優の力量が足りなかったといい訳できるからだ。

最近ヒットしなかった作品を見ると、韓国国内の有名脚本家たちが使命感を持って作品に取り組んでいるのかに、大きな疑問を持つほどだ。終了したSBS「シンイ-信義-」とMBC「アラン使道伝」がそうだった。

「シンイ-信義-」は、現代に生きる医師が高麗時代にタイムスリップするというフュージョン時代劇で、序盤は注目を集めた。キム・ヒソンが6年ぶりにドラマに復帰し、韓流スターのイ・ミンホが出演した。しかしその結果は期待以下だった。

そうだとしたら、「シンイ-信義-」がヒットしなかった理由は何だろうか?それは中盤以後、フュージョン時代劇の長所を生かすことができず、単純な“お涙ちょうだい時代劇”に作品が変わってしまったからだ。先立ってタイムスリップを素材にした「Dr.JIN」の場合、歴史との掛け合いが主なストーリーになった。一方素材が「Dr.JIN」に似ていると問題視された「シンイ-信義-」の場合、そのような共通点を避けるためであろうか、歴史との関連性を避けようした面が見受けられた。

歴史ではなく恋愛模様を描くことを選択したが、序盤に「シンイ-信義-」を選択するようにした興味の源が排除され、ドラマの視聴率は下落し始めた。使い古された素材は、それ以上視聴者の注目を集めることができなかったのだ。

作品の骨組みにある“楽しさ”が失われ、俳優たちの演技はそれ以上重要ではなくなったわけだ。作品を数年間待ちながら研究に研究を重ねてきたキム・ヒソンは、過去の“スター”キム・ヒソンではなく“女優”キム・ヒソンとして奮闘したが、いい結果を残すことができなかった。

「アラン使道伝」はさらにひどかった。イ・ジュンギの場合、軍除隊後の復帰作として一番うまく演じることができる時代劇を選んだ。「王の男」の再演ではないかという恐れがあったが、自分の真価を見せることができる作品を選ぶために「アラン使道伝」を選んだのだ。

しかし「アラン使道伝」は、イ・ジュンギに役目を与えなかった。“アラン”はいたが、“使道”は作品で見ることができなかった。「シンイ-信義-」とは反対で、恋愛模様にスポットが当たらなければならないが、その重要な柱の一つであるイ・ジュンギが、作品の序盤からいなくなってしまった。

あるドラマ制作の関係者は、「一部の有名脚本家たちの場合、職業に対する使命感があるのか疑問に思うことがある」と、作品に臨む脚本家たちの態度に檄(げき)を飛ばした。忘れたころにできあがる“一夜漬けの台本”“生放送撮影”は、俳優に作品に集中する時間を与えない。それにより、数多くの作品が制作に支障をきたし、現在も同じことが起こっている。

一つの作品が放送されるまでには、数多くの過程を経る。その過程は、重要ではない部分がない。俳優と制作陣だけが作品の責任を負わなければならないのではない。脚本家のペンから始まったシナリオは、監督と主演俳優を経て、エンディングクレジットを加えたり、編集したりするすべての人々の共同作業によって出来上がる産物である。

生まれもっての不良品からは、その結果がちゃんと出ないことは誰もが分かっているであろう。“大根役者”も問題だが、“楽しさを喪失した”シナリオを書く脚本家も問題だ。

記者 : キム・ギョンミン