キム・ワンソンからBrown Eyed Girls ガインまで…“セクシーディーバ”の系譜

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「Bloom」で大胆な挑戦…ガインから感じられる、“セクシーディーバ”の香り

Brown Eyed Girls ガインが2回目のソロ活動に取り掛かった。カムバック前からミュージックビデオで大いに話題となったガインは、独特のセクシー美を存分にアピールし、新しいセクシーディーバとして急浮上した。ガインは果たして、韓国を代表するセクシーディーバになることができるだろうか。1980年代キム・ワンソン、1990年代オム・ジョンファ、2000年代イ・ヒョリまで代表的なセクシーディーバの系譜を振り返る。

キム・ワンソン、韓国を踊らせた、「ダンシング・クィーン」

1980年代キム・ワンソンの登場は、言葉とおりショックそのものだった。キム・ワンソンの音楽は、それまでの歌謡曲と違い型破りで新鮮だった。音楽だけではなかった。スタイル、コンセプト、振り付け、ステージ構成など、韓国のダンス音楽はキム・ワンソン以前と以降とで明確に分かれる。音楽評論家イム・ジンモ氏の言葉のように、キム・ワンソンがいたからこそ韓国のダンス音楽はようやく「ダンス音楽はレベルが低いもの」という人々の冷ややかな視線から逃れることができた。

キム・ワンソンは、一概のダンス歌手ではなかった。彼女のダンスは、他の歌手のそれとはレベル違いだった。命をかけて踊るという言葉がぴったりだった。3年あまりの厳しいトレーニングを経て鍛え込んだ基本技は、人々の視線を虜にし華やかに輝いた。当時キム・ワンソンは、“ダンス”を象徴するもう一つの名前だった。

驚くべきことは、キム・ワンソンがダンスと同等に音楽的な面でも目覚しい成果を成し遂げたことだった。キム・チャンフン、シン・ジュンヒョン、イ・ジャンヒなど当代最高のプロデューサーたちと作業したアルバムでキム・ワンソンの音楽的な挑戦は韓国ダンス音楽を進歩させた。優れた歌唱力の持ち主ではなかったが、キム・ワンソンは手堅い基本技で支えられたダンスとレベルの高いアルバムで自分のブランドを最上へと引き上げた。

彼女はデビュー以来7年間活動しながらたった一度も好きな女性アーティスト1位を逃さなかった、スターの中のスターだった。私生活はほとんど知らされず、イメージも秘密めいて朦朧としたものだった。それにも関わらず人々はキム・ワンソンに忠誠した。脱がなくてもセクシーだった彼女こそが、韓国最初の、真の“セクシーアイコン”だった。

1992年引退以降叔母との決別にアルバムの失敗など、色んな騒ぎと挫折で頓挫したが、デビュー26年目の今日まで「キム・ワンソン」という名前が人々に響く理由は、彼女が歩んできた道が、彼女が作り出したアルバムが、彼女が人々に披露したステージが、誰にも近づけないほど独歩的だからであろう。

当時の人々に、キム・ワンソンは夢だった。夢は過ぎ去っても美しいもの。キム・ワンソンは、やはりキム・ワンソンなのだ。

オム・ジョンファ、いつでもどこでもセクシーな女

写真=YGエンターテインメント
キム・ワンソンの衝撃的な引退以降、彼女に取り替わる“セクシーアイコン”は簡単に登場しなかった。キム・ワンソン程の力と大衆的な人気を同時に兼ね備えた女性アーティストを見つけるのは、不可能なことのように見えた。もちろん、オム・ジョンファが登場する前までのことだ。

オム・ジョンファは、キム・ワンソンの後を継ぐ1990年代最高のセクシー歌手であり、今もなお輝くK-POP界のアイコンだ。これ以上どんな言葉が必要だろう。オム・ジョンファという名前の前で。オム・ジョンファは、オム・ジョンファだから輝き、オム・ジョンファだから存在した。「瞳」でK-POP界にデビューして以来、「裏切りの薔薇」「Poison」「FESTIVAL」「招待」「知らないふり」などを連続ヒットさせ、韓国最高のファッショニスタかつエンターテイナーに成長した彼女は、セクシー美と気兼ねなさを同時に備えた、唯一無二の存在だった。

「Poison」当時オム・ジョンファのボブカットは、一気に韓国女性の必須ヘアスタイルになり、「知らないふり」のサイバーチックな衣装はセンセーショナルな反応を巻き起こし、“オム・ジョンファブーム”を主導した。作曲家チュ・ヨンフンと一緒にK-POP界を制覇していた当時、オム・ジョンファのヒット力と人気はキム・ワンソンに劣らぬものだった。

2000年代に入りオム・ジョンファは、歌手よりは役者として、大衆とより多く、奥深く通じ合った。女優として成長しただけに歌手としての領域は減るのではとの懸念もあったが、オム・ジョンファはかえって2000年代に入ってさらに発展するアーティスト像を人々に提示するに至る。

長いパートナーだったチュ・ヨンフンと決別したオム・ジョンファは、国内外の有数のプロデューサーと一緒に革新的かつ破格的なアルバムを矢継ぎ早にリリースした。43歳のオム・ジョンファという女性アーティストが依然としてセクシーになり得る理由は、疲れを知らない情熱、くじけないプライド、明確な方向性、諦めを知らない開拓精神で武装し、韓国の芸能界でセクシー女性アーティストがどのように生きるべきかを圧縮的に提示しているからだ。

それで、彼女の歌はいつでもどこでも、どう聞いてもセクシーだ。オム・ジョンファが、“オム・ジョンファ”だから輝くように。

イ・ヒョリ、スマートなイメージメイキングの勝負師

写真=DSPエンターテインメント
1980年代にキム・ワンソンが、1990年代にはオム・ジョンファがいたなら、2000年代のセクシーアイコンは断然イ・ヒョリだ。イ・ヒョリはダンスを武器にしたキム・ワンソンと、大衆性の高い音楽を掲げたオム・ジョンファとは違い、“イ・ヒョリ”というブランド自体を一つの集約された商品に仕上げた。これは、それまでのセクシーアイコンたちが大衆を攻略した方式とは、完全に違う軌道の戦略だった。

イ・ヒョリは、セクシーさと親近感という二つのイメージを適切に混ぜ、大衆の期待を弛まず満足させた。「ハッピートゥギャザー」でシン・ドンヨプと一緒に間抜けな姿を見せていたイ・ヒョリが、ステージ上で男を10分でものにしてしまうほどセクシーになるとは、想像もできないことだった。しかしイ・ヒョリは、「10 Minutes」一つで韓国で一番セクシーな女になった。

これを通じて“アーティスト”イ・ヒョリは、“バラエティ出演者”イ・ヒョリとは全く違う、正反対の新しいイメージを示した。大衆は正反対の二つのイメージを自由自在に活用する彼女に熱狂し、イ・ヒョリを当代のセクシーディーバとして認めた。2000年代、数多くのセクシーコンセプトの女性アーティストが現れては消えていく中でも、イ・ヒョリの存在感は輝き続けた。

結局、イ・ヒョリが愛された決定的な理由は、いつも新しかったからだ。常に新しさを追究するスター。期待していたのとは全く違うトレンドを提示するスター。セクシーながらも気さくで、美しいながらも天然なところもあるイ・ヒョリは、それでこそ韓国が最も愛するスタートして成長できた。

2003年イ・ヒョリシンドローム以降、彼女は30歳を超え、皆からセクシーというには歳を取ったと言われる時期を、最もイ・ヒョリらしい方式で自らの道を黙々と歩いている。スマートなイメージメイキングとずば抜けた才能でセクシーディーバとしてのプライドを守っている彼女の次のアルバムに、早く会いたい限りだ。

“セクシーディーバ”の座に投げつけた、ガインの挑戦状

写真=NEGANETWORK
最近K-POP界でセクシーコンセプトを活用した女性ソロアーティストの活躍は、微々たるものに留まっている。チェヨンとIVYを皮切りに、MINA、ソン・ダムビ、G.NA、4Minute キム・ヒョナなどが挑戦状を投げたが、キム・ワンソン、オム・ジョンファ、イ・ヒョリの跡継ぎと称するほどの成果を出した人は見当たらない。王座が主を失ったこの時期、セクシーディーバの座に自信ありげに挑戦状を突きつけたのが、ガインだ。

タイトル曲「Bloom」で2回目のソロ活動を始めたガインは、大胆で挑発的なステージマナーで注目できる実績を出している。露骨にセクシーさを強調するのではなく、“女性美”を最高潮に具現し夢幻的な魅力をアピールするガインの戦略は、その他の女性セクシーアーティストと明白に差別化されている。彼女の活動を好奇心を持って見守りたい理由だ。

安定的な歌唱力も印象に残る。激しいパフォーマンスにも安定した歌の実力をアピールしたガインは「セクシーアーティストは歌唱力が足りない」という一角の偏見に立ち向かっている。コラムニストパク・ジンギュの話のように、彼女は安定したボーカルをベースに雰囲気によって様々なカラーを自分の音色に加えることのできる、老練さを持っている。

話題を集めるミュージックビデオでの姿は、セクシーディーバとしてのガインの異色的な可能性を覗かせている。その中でガインは、今しがた愛に目覚めた女性の歓喜と嬉しさを楽しく表現している。それでなのだろうか。彼女の姿は、扇情的というよりは華やかで軽快に見える。咲き切れていない花が華やかに咲くという「Bloom」の歌詞のように。

もちろん、今のガインを今すぐキム・ワンソンやオム・ジョンファ、イ・ヒョリに比べることはできない。キャリアから人気に至るまで、まだまだ足りない面がある。にも関わらずガインの登場が嬉しいのは、26歳、若いこの女性アーティストが、女性の欲望と愛を自信ありげに歌い、また違うセクシーさを提示しているからだ。

それにガインは、キム・ワンソンのダンス、オム・ジョンファの大衆性、イ・ヒョリのイメージ戦略を賢く借用し、自分ならではのものに消化している。歴代セクシーディーバの長所だけを吸収し自らのブランド価値を高めているのだ。今この瞬間、ガインほど素敵なセクシースターはそれほど多くない。

ガインの2枚目のミニアルバム「Talk about S.」はセクシークイーンの座を先占しようという、野心に満ちた抱負の出馬であり、遠大な計画の第一歩だ。果たして彼女はキム・ワンソン、オム・ジョンファ、イ・ヒョリの後を継ぐ韓国のセクシーディーバとして成長できるだろうか。今回のミニアルバムで新しい試験台に立たされることになったガインが、自分の無限の可能性を証明することを期待してみる。

記者 : キム・ソンギュ 写真 : イ・ジョンミン