「私のオオカミ少年」ソン・ジュンギだからこそ人目を引く魅力がある

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写真=映画社ビダンギル

「私のオオカミ少年」野生と純粋さの共鳴

オオカミと言う野生の性質と少年という純粋性が出会ったとき、妙な違和感と好奇心が湧いてくる。「私のオオカミ少年」はこの化け物に対するネガティブな認識から「実はこの化け物が、私達と大して違わない、私達を暖かくしてくれる何かを持っている」ということを見せることで物語が展開していく映画だと言える。

さらに正確には、このオオカミ少年(ソン・ジュンギ)と病を患っているスニ(パク・ボヨン)との出会いから、野生と純粋性が情緒の面で通じることを許す中で、ロマン主義的な伏線の下、オオカミ少年が化け物らしいのではなく、どれだけ愛らしいのかに対する観客の共感を土台にした映画だと言える。


デジャヴが感じられる映画「凍える牙」と「シザーハンズ」が見える

実はこの映画を見ながら、他の映画との共通点をもとにアプローチした。すでに「オオカミ人間」という設定自体は、西欧の説話に基づいたフィクションに近く、人間がオオカミに変身し、暴力的な姿を現すというイメージはありふれたものでもある。

今年公開されたユ・ハ監督の映画「凍える牙」は、韓国映画界の現実的な流れから、この映画の無意識的な前提として働く。これは模倣の側面を意味するものではなく、この映画が成り立つ上で、映画での現実の土台として作用することを意味する。また勧善懲悪的なドラマ、主人公が優れた能力と優しい心、また正義を掲げたり、大きな魅力を持っていたりすることは、ほぼ映画に該当する設定に近い。

一方、化け物自体が映画の中心になることは、この化け物が、実は私達が考える化け物でないことを、また私達の過ちにより、仕方なくそうなったことを知らせる役割をする。例えば「凍える牙」は父親の復讐心により、オオカミ犬が誕生したことを暴いていく内容だが、「私のオオカミ少年」の場合は、オオカミ少年の誕生自体に疑問符をつけるよりは、この存在が与える、人生に対する新しい意味が、この映画の中心になるのである。

また奇抜な外見を持ち、人里離れた城に住むシザーハンズと美しい少年との愛を描いた映画「シザーハンズ」と「私のオオカミ少年」は、フラッシュバックが映画の全般を占めるという点がかなり似ている。個人的には、異質的な存在と普通の人間との愛を描いた「私のオオカミ少年」の感性がぴったりと合う時期がやっときたなとも思った。


ソン・ジュンギの野獣性は、どのようにして魅力的な姿へと変身するのか

それでは、この映画では、どのようにして観客の心を掴んでいるのか。ソン・ジュンギとパク・ボヨン、少年と少女のイメージをまだ持っているこの二人の俳優の出会いは、映画制作の前から話題となった。しかし映画を通してほとんど話さないソン・ジュンギが、野生の、汚く理性のない動物に変身した姿を見るのは、観客にとっては大きな衝撃でしかない。

しかし、これに対する恐怖をなくし、違和感までも最小限に抑えることができた理由は、面白いことに、映画で見られる私達の家族主義的な日常が見え隠れするからである。主な話の舞台となる47年前の世界で、夫のいない、子供を一人で養う母親(チャン・ヨンナム)がこれを明白に見せている。チャン・ヨンナムは映画で、この野生の少年をわがままな行動をとる子供として描き出した。

またオオカミ少年とスニが、お互いに異性として引かれることについて考えてみよう。ここでソン・ジュンギは、男としての姿の代わりに、固定された瞳を中心とした、一つの“対象的被写体”となるが、観客はパク・ボヨンの視線で、ソン・ジュンギという野生の存在、つまりいかなる企みもなく、単純で、粗末で、予測不可能な眼差しのオオカミ少年を見ることになる。

これを通じて観客は、既存のソン・ジュンギを忘れ、全く新しい魅力の存在を発見するのである。これはつまり、次のように解釈できる。“ソン・ジュンギだからこそオオカミらしくない存在を発見できるのだろう”


オオカミ少年の淡くロマンチックな思い出

この作品が47年前から始まるということは、47年後の今に戻ることを予告する。これに関する部分は、映画を鑑賞する観客に任せる。恐らく、ソン・ジュンギの魅力がさらに色濃く伝わるだろうということだけ、話しておきたい。47年の空白期間にも関わらず、そのロマンを維持できる理由は、むしろ人間とは違うオオカミ少年という存在だからだ。

野生のソン・ジュンギは、家族に出会い、小説「ソナギ(夕立)」の中の痛々しい少女を思い浮かばせるパク・ボヨンとの切ない感情交流を通じて、人間よりも純粋な感情を持つ存在として描かれる。その結果この映画は、ロマンチックな物語の条件を満たすのである。今まで少年と少女の面影を持っている二人の俳優の、さらに成熟した演技力は、映画のもう一つの魅力となるだろう。

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記者 : キム・ミングァン