「ある会社員」ソ・ジソブ“僕はいつも51%のために走る”

OSEN |

俳優ソ・ジソブが映画「ある会社員」で戻ってきた。見ているだけでトップスターのオーラが感じられる“ソ・カンジ”(ソ・ジソブだけのかっこいい感じ)。彼が普通のサラリーマンを演じるのは似合わない。だが、実は普通のサラリーマンではない。都会の真ん中にある“キラー”たちの会社。ソ・ジソブは、この殺人請負会社の営業2部の課長チ・ヒョンドに扮する。チ・ヒョンドは、果たして平凡な人生を送ることができるのだろうか。

「ある会社員」(監督:イム・サンユン、韓国で11日公開)は、ユニークな設定が目立つが、何よりもソ・ジソブから始まってソ・ジソブで終わる映画だ。それだけ主演ソ・ジソブの役割は絶対的だ。簡潔かつ正確で派手なアクションを見せながらも感性に触れる、この複合的なジャンルのヒーローになって戻ってきたソ・ジソブは「一度決めれば後悔はしない」と言い、「ある会社員」を選んだ理由と自身の性格、人生で一番大事だと思うことなどについて聞かせてくれた。いつも“51”という数字を胸に刻んで走る彼だった。

―「ある会社員」を選択した理由は?

ソ・ジソブ:タイトルやコンセプトが面白かったし、日常に疲れた会社員なのに、蓋を開けてみれば自身の勤務する会社は、“キラー”が通う会社だったという設定が独特で良かった。シナリオを読みながら様々なことを考え、一度決めたら絶対後悔はしない。シナリオを読んで5時間後、すぐにやると言った。

―映画の中でわざわざボティラインを隠すスーツを着たと聞いた。

ソ・ジソブ:一人で決めたことではなく、映画の制作チームと相談して決めた。会社員なのにタイトなスーツでファッショニスタのように振る舞うことはとんでもないと思った。それでほつれたかばんを持ち、ちょっと大きめのサイズの服を着た。

―チ・ヒョンドとソ・ジソブは似ている点があるのか?

ソ・ジソブ:家にいるのが好きだし、本当に口数が少ない。家では、一人でぼーっとしていることが好きだ。音楽を聞いたり、映画を見たり。前はインタビューし難い俳優の一人として挙げられていたと聞いた。内面は変わらないけれど、外向的な面が少し変わった。

―俳優クァク・ドウォンが、「ソ・ジソブのとんでもないギャグは面白くはないが可愛い」と話していた。

ソ・ジソブ:僕はもともと面白くないタイプだ。

―「ある会社員」を「アジョシ」と比較する人もいる。

ソ・ジソブ:2つの映画は、まったく違う。比べることができれば、もちろん長所と短所はあるだろうが、似ていたとしたらこの映画に出演することはなかったと思う。

―イ・ミヨンとの演技はどうだったのか?

ソ・ジソブ:イ・ミヨン先輩はカリスマ性があるし、女優歴が長いだけに年輪を無視できない感じだった。オーラがある。これまでしてきた演技と今回のものはかなり違ったはずなのに、前の演技は全部忘れたかように相手のことばかり配慮してくれる姿に感動した。感謝している。

―演技に初挑戦するZE:A キム・ドンジュンに演技指導はしたのか。「ファントム」のときは、クァク・ドウォンに色々とアドバイスをしたと聞いた。

ソ・ジソブ:僕に誰かを教えることができるのだろうか。クァク・ドウォンには、それぞれの状況に対処する方法を教えてあげただけだ。ドラマの経験がなかったのでカメラの位置やサイズのようなものがよく分からなかったようだ。演技を教えることはない。そして力の配分くらいかな。映画は一つ一つのシーンを撮る渾身の力を発揮するが、ドラマではそんなことはできない。スピードが速いから。

―これまでの作品を見ると、主に一人、または二人でリードしていく作品が多かった。最近では“マルチキャスト”が流行っているが。

ソ・ジソブ:個人的にマルチキャストは、あまり好きではない。個人的な考えかもしれないが、一人の人物が最初から最後まで走ることが好きだ。視線が分散されることは嫌いで……。でも、やってみたい気持ちはある。

―フィルモグラフィーを見ると、ターニングポイントを作ってくれた珠玉のような作品が多い。一番愛着のある作品はどの作品か?

ソ・ジソブ:すべてだ。全部ポイントがある。「ただいま恋愛中」「千年の愛」のような作品も大事で「バリでの出来事」は人々に僕の名前を知らせた作品だ。「映画は映画だ」は、僕に“俳優”というタイトルを付けてくれた。ドラマに出演しているとタレントと呼ぶ人が多いけれど、映画で俳優と呼ばれるようになった。本当に良かった。

―本人を代表するあだ名が“ソ・カンジ”だ。これについてどう思うのか?

ソ・ジソブ:気分はいいけれどソ・カンジというあだ名のせいで、最近初めて容貌だけでアピールしているのではないかという言葉を聞いた。そのような言葉は、イケメンだけが聞くものだと思っていた。それは僕が意図したことではない。(本人はイケメンではないと思うのか?)僕は、イケメンではない。ソン・スンホン、チャン・ドンゴンがイケメンだ。たまにそんな言葉を聞くとなんだかぎこちない。

―かなり激しいアクションが出てくるが、撮影しながら怪我はしなかったのか?

ソ・ジソブ:擦り傷と打撲は、負傷とは言えないし……アザができたくらいだ。撮影とはいえ、生まれて初めて女性を殴った。相手の女優さんは涙を流しながら撮影していた。その日は本当に気分がよくなかった。でも僕は、クァク・ドウォンさんにたくさん殴られた。

―自身の所属事務所の名前である“51K”の意味は何か?

ソ・ジソブ:51は僕が好きな数字で、Kは“キングダム”という意味だ。51%と49%には、大きな差がある。僕は、常に51%のために走る。

―後輩の新人役者を育成する気はないのか?

ソ・ジソブ:まったくなかったけれど、投資家や制作者にはなれると思う。事務所や僕と合う人を探しているが、僕は厳しい。一人一人全員僕が面接している。

―これからやってみたい役は?

ソ・ジソブ:低予算や大作など、規模は考慮しない。ジャンルも同じだ。ラブコメディもやりたいし、その反対に当たる役もしてみたい。韓国人は、感情表現が強くてストレートな映画を好む傾向があるから、そういう作品もやってみたい。何よりシナリオが面白くなければならないし、監督はその次だ。時々有名な監督に「NO」と言ったこともあって“変なやつ”と言われたこともある。

―現在ソ・ジソブにとって一番重要なものは何か?

ソ・ジソブ:自分自身に「この頃楽しい?幸せ?」というような質問をしてみる。俳優は、観客や視聴者に幸せを与えるために演技をする。そこで、僕が幸せではないのに観客が僕を見て幸せになれるのだろうかと思う。僕は、人々に楽しみや幸せを与えようとするのに自分がそうでないならそれは失敗だ。楽しみながら幸せに生きていくために努力する。本を読んで気付いたことがたくさんある。僕が幸せな時は、僕を見ている人も幸せになるということだ。ちょっと自己中心的な考え方かもしれないけれど、重要なのは僕が先に幸せにならなければならないということだ。お金がたくさんある人も、自ら幸せだと思う人には勝てない。

―結婚の予定は?

ソ・ジソブ:思う通りにはならない。一生僕の見方になってくれる人を探したい。家族は僕が選択できないけれど、これから作る家族は僕が選択できることだ。いい選択をしたい。

―観客に一言伝えるとしたら?

ソ・ジソブ:映画をご覧になって自分のことを考えてみる時間と余裕、今自分が楽しくて幸せなのかを一度ぐらいは考える時間を持ってほしい。そのような映画になればいいなと思う。

記者 : チェ・ナヨン