チャ・ジヨン「イム・ジェボム先輩に出会ったのは運命でした」

MYDAILY |

MBC「私は歌手だ」のシーズン1を通じて多くの歌手が再び注目を集めた。ビジュアル歌手キム・ボムス、バラードの神キム・ヨヌ、国民の妖精パク・ジョンヒョン「私は歌手だ」のブームを巻き起こしたイム・ジェボム。彼らと異なり、一回の出演で多くの視聴者の注目を集めた人物もいる。それはミュージカル女優で歌手のチャ・ジヨンである。

彼女の名前はまだ多くの視聴者には馴染みのない名前である。しかし“イム・ジェボムの彼女”と紹介すれば「あ、あの人か!」という反応を見せる。あれから1年が経ったものの、まだチャ・ジヨンという名前より“イム・ジェボムの彼女”でよく知られている彼女に会った。

「運命というのはあるみたいです」

チェ・ジヨンを語るにおいて欠かせないのが「私は歌手だ」と言うと、彼女は「当たり前です」とクールに認めた。

「演劇『母をお願い』のリハサール中に監督から連絡が来ました。監督が『君、イム・ジェボムさんを知っているよね?』とおっしゃって私が『先輩、生きていらっしゃいますか?』と聞きました。先輩が活動していなかったからです。監督は笑いながら『イム・ジェボムさんはパンソリ(韓国の民族芸能:歌い手と太鼓の伴奏者の二人だけで演じる、身振りを伴った一種の語り物)ができる人を探しているんだよ、君がやってみたらどうかな?』とおっしゃいました。私はミュージカル『風の丘を越えて/西便制』(ソピョンジェ)に出演してパンソリを学びました。もしあの時コンサートや公演をしていたら、または『風の丘を越えて/西便制』に出演していなかったら“イム・ジェボムの彼女”は存在しなかったはずです。本当に運命というのはあるみたいです」

イム・ジェボムと一緒に「私は歌手だ」で「空いたグラス」を歌い上げた彼女は“イム・ジェボムの彼女”と呼ばれ、話題を呼んだ。1年が経った今も彼女につきまとうこの修飾語が負担にならないかと聞いてみた。彼女は「私の存在感を放ちました。そしてイム・ジェボムの先輩ですから」と答えた。

「私は学生時代、辛いときにはイム・ジェボム先輩の『飛翔』を聞きながら一人で泣きました。そんな先輩とご一緒できるのに、嫌だなんてとんでもないです。先輩が私におっしゃったことは今も覚えています。『君は僕が見てきたどんな女性歌手より心優しい女性だよ。君のこういうところを悪用するのではないか心配だよ。強くなれよ』とおっしゃってくれました。先輩ほど私のことを理解してくださる方はイム・ジェボム先輩しかいないと思います」

「私は歌手だ」の出演後、彼女はイム・ジェボムの全国ツアーに参加した。そしてそこで彼女はロックバンドDIABLOに出会う。

「私はロックという音楽が大嫌いでした。私にはただうるさい音楽にしか過ぎなかったけれど、実際DIABLOの音楽を聞いて彼らの音楽に魅了されてしまいました。その後、私は『あ、私が目指すべき道はあれだ』と思いました」

彼女は21日に放送されたKBS 2TV「ユ・ヒヨルのスケッチブック」に出演し、ディープ・パープルの「Burn」を歌った。ヘッドバンギングをしながら声が枯れるくらいに歌った彼女は「Burn」というタイトルのようにステージを熱く盛り上げた。

「本当に声が枯れてしまうほど熱唱しました。ミュージカル『風の丘を越えて/西便制』の公演を3回はしたような気がします。その曲のアレンジもDIABLOに頼みました。3~4日間徹夜してアレンジしてくださった曲ですが、本当に私のための曲のように感じました」


「『不朽の名曲』の出演にプレッシャーを感じなかったと言えば、嘘です」

ロックを愛する彼女は「私は歌手だ」に出演した後、初めてKBS 2TV「不朽の名曲-伝説を歌う」(以下「不朽の名曲」)に出演してロックだけでなく、彼女ならではの様々な音楽を披露した。だが、彼女は「不朽の名曲」で披露したステージをすべて忘れたかった。

「初めて歌った曲『もう忘れることにしよう』以後、4回ぐらいは私のアイデアより流れに合わせて歌いました。経験したことがなかったので、どうすればいいか分からなかったんです。でも、22日の放送からは私のアイデアが反映されています。多くの視聴者が『あれが私の知っているチャ・ジヨンさんなの?』とがっかりしたかもしれません。でも、ひどい事を言われても既存の歌手が見せなかった姿をお見せしたかったです」

自らコンセプトを考え、それにふさわしい音楽のために直接ミュージシャンに協力を頼むチャ・ジヨン。このように彼女は情熱的に準備しないと気が済まないのである。結局、彼女は韓国で先月22日に放送された「不朽の名曲」を通じて彼女ならではの音楽を披露した。現代楽器なしにコムンゴ(琴の1種で朝鮮の伝統楽器)4面でステージを作り上げた。

「イ・スンファン先輩、パク・ジニョン先輩の曲の歌詞には起承転結があって現代風の言葉が多いです。でも、この日私が歌ったソン・テグァン先生の『四拍子』は年を取った中年の方が人生を語るような歌詞だったので、本当によかったです。今回は華やかな衣装と楽器なしで余白の美を強調しました。視聴者がこの曲を聞いて少しでも癒されたらいいですね」

しかし「不朽の名曲」はバラエティ番組である。控え室では他の出演者の歌を一緒に聴きながら笑いを誘わなければならない。「ずば抜けたバラエティセンスの持ち主だから、プレッシャーを感じなかったと思うが?」という質問に彼女は不機嫌になった。

「プレッシャーを感じなかったと言えば嘘になります。でも、幸いなことにチョン・ジェヒョンさんやイ・スグンさんが気遣ってくださいました。私がつまらないことを言っても、面白いリアクションをしてくださいます。この日私が『玉つき屋でバイトしながらファヨビさんの歌を聞いた』と言ったんですが、それが面白かったようです。玉つき屋が面白かったのかな?(笑)」


「アイドル主演のミュージカルですか?JYJのジュンスさんやf(x)のルナさんは頑張り屋さんですよ」

彼女はドラマに出演したことがある。SBS週末ドラマ「女の香り」にてクールでセクシーなタンゴ学院の院長として出演した彼女は少ない分量でも強烈な存在感を放った。

「私もアルゼンチンタンゴは初めてでした。撮影が始まる直前に出演が決まったので、準備する時間が足りなかったんです。一日3~4時間以上、タンゴの先生を訪ねてタンゴを教わりました。それで練習中に足の爪が割れてしまいました。こういう状態で撮影が始まりましたが、監督が足からクローズアップして撮影しました。結局割れてしまった足の爪を瞬間接着剤で貼ってやすりで形を整えてからマニキュアを塗りました」

それだけではない。彼女は主演を務めたミュージカル「アイーダ」のためにレゲエ風の髪型にした。周りからはレゲエスタイルのかつらをかぶった方がいいと引き留めたものの、彼女はレゲエが何なのかを知りたいと言って6時間髪を編んだ。そんな彼女にミュージカル「アイーダ」のヒロインは夢のようなことであった。

「初めは信じられなくて『本当ですか?』と聞き返しましたね。それから『どうすればいい。私はもう終わったのよ』と100回は言ったと思います。『アイーダ』は本当に傑作だと有名なので、観客は私の演技に満足してくれるのかなと思いました。でも、嬉しい気持ちが強かったです。それほどもっと頑張らなければならないですけどね。漢方薬でも飲むべきかな?先に『アイーダ』に出演したオク・ジュヒョン先輩はオットセイエキスを飲んだらしいです。私にオットセイエキスを勧めてくださいました(笑)」

チャ・ジヨンはミュージカル「風の丘を越えて/西便制」で2011年「ミュージカルアワーズ」で女優主演賞を受賞した。ミュージカルへ愛情を持っている彼女にアイドル歌手がミュージカルの主演を務めたことについて聞いてみた。

「いいことだと思いますよ。アイドルが出演してミュージカルが多くの人に知られて人気になったんですよね。でも韓国には主演を務めるために血のにじむような努力している俳優が大勢います。ただ有名な俳優であるため、主演を務めるチャンスがない場合が多いです。そんな方々と一緒に公演するときには、その努力を考えながらもっと頑張ってほしいです。ミュージカルは番組のステージとはまったく違います。本人が満足できないと、観客もそうです。観客が後悔する姿は見たくないです。最近はたくさんの準備をなされてからいらっしゃるので、本当に良い事だと思います。特にJYJのジュンスさんやf(x)のルナさんを見てそう感じました。台本を読んでチェックしながら本当に頑張っています」

このように努力している彼女に「近いうちに有名になると思う」と言ったら、彼女は笑いながら頭を左右に振った。

「もちろん有名になって話題になったらいいと思います。でも、今はそんなことは考えないようにしています。ただ恥ずかしくないアーティストになりたいです。悪いことはせず、私に与えられたことを頑張ってやっていきたいです。努力すれば、いつかはその日は来ると思います。ま、その日が来なくてもいいんですけどね(笑)」

記者 : イ・ジヨン、写真 : ユ・ジニョン