BIGBANGのG-DRAGON「クォン・ジヨン、君はよくやっている」

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G-DRAGONは2枚目のソロアルバム「ONE OF A KIND」の中の同タイトルの曲で「オレは才能がある熊、熊というよりキツネ」と歌った。その歌詞のように、G-DRAGONは9月19日に行われたラウンドインタビュー(多くのメディアが同時に一人のスターとインタビューを行うこと)で、どんな質問にも躊躇せず答え、その答えには余裕が溢れていた。しかし、彼は「音楽のない人生は考えられるのか」という質問にだけは、「本当に分からない」「音楽以外、僕にできることはないと思う」と焦ったように答えた。12歳でYGエンターテインメントに入って音楽を始めたG-DRAGONは、ちょうど10年目になる2009年に1stソロアルバムをリリースし、それから3年が過ぎた今年、「ONE OF A KIND」で帰ってきた。絶えず音楽を作り、悩み続け、そしてもっと自由になるまでの、この「ONE OF A KIND」を聞いてみた。

―3年ぶりのソロアルバムだ。初のソロアルバムの時と比べて、今、どんな気持ちか?

G-DRAGON:今はもう少し賢くなったと思う(笑) 3年前は、ただ意志だけが先走っていた。だから、今そのアルバムを聞くと……聞きたくなくなる(笑) 「ああ、どうしてこれをこうしたのかな」とよく思ってしまう。だから、2枚目のアルバムは「3年後にこのアルバムを聞いても、こういうふうには考えないようにしよう」という思いで作った。問題点をなるべく直そうとしたし、今はそうできる方法も少しは身に付けたと思う。ある意味、前よりもう少し計算高くなったものもあるけれど、音楽の面でも音楽以外の色々な面でも、前より賢くなったと思う(笑)

―「Heartbreaker」で「オレだってどこに行っても負けはしない」と言っていたが、「ONE OF A KIND」では「かわいく見てください」に変わった。確かに、余裕ができて自信がついたように見える。

G-DRAGON:どうやらそうみたいだ。僕はまだ若いけれど、年を重ねるにつれ変わっていくと思う。たぶん、これからもさらに変わるだろう。今の僕は誰が見てもまだ大人ではないけど、大人になっていく過程にいるので、僕なりにこれからどんなふうに生きていけばいいのかゆっくり考えながら生きている。そういう考えが、何かに追われているような気持ちから抜け出させてくれて、余裕を与えてくれる。

「『よくやっている』ということを見せたかった」

写真=YGエンターテインメント
―そういう余裕の中で様々な姿を見せているのだと思う。3つのミュージックビデオがすべて違うコンセプトであり、「CRAYON」のミュージックビデオの中でも自分を様々な姿で表現している。

G-DRAGON:そのビデオは内容が少しごちゃごちゃしている(笑) 最初、監督と僕が意図したのは、ちょっと精神が異常な状態で見る色々な夢を描いてみようということだった。だから、演じなければならない役がいつもより多くなったと思う。「CRAYON」が“Crazy+G-Dragon”を略した言葉なので、「わあ、あの子、少し狂ってるみたい」と言われるような雰囲気を出したいというのが最初の意図だった。それに「ONE OF A KIND」は節制しながらも強い感じにしたかったし、「THAT XX」はミュージックビデオの中でまるで一人二役のように二人の役を演じながら、少し幻想的な雰囲気を盛り込みたいと思った。3本とも違う雰囲気でよくできたと思うので、満足している。

―今回のアルバムはそれくらい自分自身に集中したアルバムとも言えるだろうか?このアルバムで人々に見せたいと思った“自分”とはどんな姿なのか?

G-DRAGON:「よくやっている」ということかな。実は、今回のアルバムはコンセプトが明確ではない。ただ、今25歳(韓国での年齢)の、20代の真ん中を生きている僕という人間が、今の自分で出せるベストを見せたいと思った。僕が考えることや僕が生きるということを。誰でもこのアルバムを聞いたら、「この子が今、こんなことをやっているんだ」とよく分かるように、そして率直に作ることが目標だった。

―以前は率直というより緻密に計画して見せるという感じだったが。

G-DRAGON:以前は本当に、とてもよく組まれていて、遠い存在に感じられるような姿を目指していた。針で刺しても血が1滴も流れないような人物に思わせたかった……(笑) わざとそういう感じを追求した(笑) でも、今はミュージックビデオの中でわざわざひげを剃ったり、友達を呼んでどんなふうに遊んでいるかを見せている。ただ、そういうことを見せながら、「あの年齢のあの人がどんなふうに生きていて、どんなふうに考えているのか」「今よくやっているんだ」ということを説明する感じだ。

―それなら、「ONE OF A KIND」では自分が伝えたいと思った絵がちゃんと描かれているのか?

G-DRAGON:そうだと思う。BIGBANGのプロデュースをする時は、僕一人だけ目立ってもいい絵が描かれるわけではない。メンバーそれぞれが一番うまくできることを生かし、シナジー効果を上げなければならない。それがチームワークだ。ソロ活動の時は、僕がやりたいと思うことをやることができるので、思っていることをすべてやればいい。だから、ソロ活動の方がプレッシャーが少ないと思う。ただ、僕がやりたいと思うことをやればいいから。

―そんな姿勢を一番よく見せている曲が「ONE OF A KIND」だと思う。活動再開を知らせる最初の曲が、ヒップホップに完全に集中した曲なので驚いた。サウンドもスケールが非常に大きく、メリハリがはっきりしていて、さらに独特な印象の曲である。

G-DRAGON:12歳でYGエンターテインメントに入った時から、今までずっとやってきたジャンルだし、一番うまくできるのがヒップホップだ。これは今後も変わらないと思う。ソロアルバムはもう少し実験的なものをやっても悪くないと思ったし、意欲もあった。だから、ソロアルバムの時はいつも子どもの頃からやりたいと思っていた音楽をやるようになる。曲を作りながら、ヒップホップという範囲の中で、もっとたくさんの面白さを探そうと努力した。ヒップホップというジャンルに対して、人々が重くて暗くてつまらないと思う部分を少しでも変えようと色々と試した。結果的には、声だけでなく様々な音の効果を考えたので、そのようなサウンドを築くことができたと思う。このような試みはリスクを抱えていると思うこともある。でも正直、僕のイメージのおかげかもしれないが、今は大衆的なものでもそうでないものでも、僕がやったら「あ、あんなものもあるんだ」と人々が受け入れてくれると思う。もう少しラフな感じで言うと、この曲やアルバムを聞いた人々が「ああ、これは本当にあの子しかできない」と思うように作りたかった。

「結局、音楽は聞いていいと思えたらそれでいいと思う」

―G-DRAGONにしかできない、もしくは今のG-DRAGONが追及する音楽とはどんなものか?

G-DRAGON:ある時、何か新しいものを追求しなければならないという強迫観念から抜け出すことができた。新しさが嫌いになったわけではなく、ただ、あえて新しくする必要はないと思った。だからBIGBANGや僕のソロ、もしくは他のグループの音楽をプロデュースすることにおいても、それぞれが必ず違うカラーを出さなければならないとは思わなくなった。その代わり、最近はただ曲が良ければそれでいいと思うようになった。どこに行ってどんな作業をしても、ただ、いい曲を書いて歌おうという考えが先に浮かぶ。結局、音楽は“聞いていいと思えたら、それでいい”ということだ。そんな気がした。

―「CRAYON」での「Why so serious?」が頭の中に浮かぶ。その言葉は人々への言葉なのか、それとも自分自身への言葉なのか?

G-DRAGON:両方だ。人々が僕をどんなふうに見るかとは関係なく、僕はただ僕であるだけなのに、やりたいと思うことを見せたら、人々はそれをとても真剣に、拡大解釈しているように思えた。みんながこの音楽をただ楽しんでくれればいいのにと思って、周りの他のものより際立たせて語ることに対して、どうしてそんなに深刻になるのか?と聞いた。それは、僕自身に勇気を与えようとする言葉でもあった。実は、その言葉は映画「ダークナイト」でジョーカーが言った台詞だけど、僕はその台詞が大好きだ。何だかジョーカーの顔が思い浮かんで、悪役だけど世の中をそういう視線で見て、そう言うことができるという点が、バットマンより格好良いと思う。

―アルバムの中には様々なスタイルの曲が収録されているが、「CRAYON」をタイトル曲に選んだ特別な理由があるのか?

G-DRAGON:正直、僕が作った曲なのですべての曲が良いと思う(笑) どの曲がタイトル曲になってもいい。でも、社長が「君が3年ぶりにソロアルバムをリリースすることを第三者の立場から言うと、歌を歌ってラップしてヒップホップをやって……全部いいけど、ただ、君だけが出せる楽しい感じを生かした曲をタイトルにした方がいいと思う」と話してくれた。最後の最後まで悩んで、「CRAYON」をタイトル曲として選んだ。実は、この曲を作るのにかなりの時間がかかった。楽しみながらも、タイトル曲にできるような曲にしなければならないので、色々と悩んだ。TEDDYさんと一緒に色々試しながら悩んだが、なかなかうまくできず、少し放っておくことにした。でも突然、頭の中にアイデアが浮かび、曲を完成させることができた。そういう経験からすれば、色々なことを考えながら曲を作るより、やりたいものをやった方がいいと思う。

―バンドNELLのキム・ジョンワン、紫雨林(ジャウリム)のキム・ユナなどがアルバムに参加した。先輩たちと一緒に制作しながら学んだことがあると思うが。

G-DRAGON:もちろんだ。先輩たちと制作する時は、僕はやることがまったくない。僕が書いた曲だけど、すでにすべてを理解してスタジオに来てくださるので、ディレクションを行う必要がまったくない。みんなよく歌ってくださるから。「さすが、先輩だ。先輩ならこのくらいはできないとね」ということを学ぶ(笑) みんな僕が望む以上のことをやってくださるので、他に作業する必要があまりない。キム・ユナさんとキム・ジョンワンさんは、二人とも本当に独特でいい音を持っていると以前から思っていたので、今回、参加してくださいと頼んだ。

―共に音楽を作りたいと思うミュージシャンが他にもいるのか?

G-DRAGON:いる。そういえば、一緒に作りたいと思う人の名字は、みんな“キム”だ(笑) 前回のアルバムではキム・ゴンモ先輩と制作したし、今回のアルバムではキム・ジョンワンさんとキム・ユナさんとした。また、今回のアルバムに参加して欲しいと思ったけれど、曲自体をはずすことになって、まだ一度も話したことがないWindy Cityのキム・バンジャンさんもいる。その方と一緒にやってみたいと思って作った曲があるけれど、やむを得ず、今回のアルバムからその曲をはずすことになったので、まだ何も話したことがない人だ(笑) それから、年下のミュージシャンたちと作ったことがあまりない。アイドルの後輩とか……。年下の子たちと一緒にできるチャンスが来たら、また違う絵を描くことができると思う。

―YGエンターテインメントのガールズグループと一緒に作ってもいいのでは?

G-DRAGON:僕も面白そうだと思う。実は、TEDDYさんが羨ましいと思うことが多い。男性が女性の感性で曲を書くということはとても難しいことだし、僕は今でもなかなかうまくできない。でも、TEDDYさんはそういうところが本当に強い。もし、ガールズグループをプロデュースすることになったら、それは僕にとってもそういう面での実力が伸びるチャンスになると思う。僕の勉強にもなり、彼女たちにも役立つことがあればいいなと思う。

「僕が自信を持っている時、人々が認めてくれる時に、いい姿を見せることが目標だ」

―人々は今や「G-DRAGONはトップになった」と思うかもしれない。「ONE OF A KIND」の歌詞通り、今のG-DRAGONは「Young and Rich」であり、「Wild and Young」であるから。そんな人生を生きる気分はどんなものなのか?

G-DRAGON:僕がいつも言っている言葉がある。人の将来はどうなるか分からないから、いいことでも悪いことでも、それがスタートになるかもしれないし、ならないかもしれないということだ。僕は今の自分がトップかどうかよく分からないが、人々がトップとして見てくれるなら、僕としては「よし、僕はうまくやっている」と思うことができる。トップになりたいと常に自分で思っていたので、人々が僕をそう思って理解してくれているとしたら、僕は他の人より早く夢を叶えたことになるし、より大きな夢を見ることもできるから。でも、いつもそうだけど、明日はまたどうなるか分からない。10年後、15年後にもこういう音楽をやることができるかは分からない。だから常に将来に備えている。正直に言うと、僕は最近ステージに立つ自分の姿を見て、自分でも少し狂っているのではないかなと思う(笑)

―狂っているということはどんなことを意味するのか?夢中になっているということなのか?

G-DRAGON:そうだ。悪い意味ではない。本当に狂ったように、ある感情が自分の中から湧き出ることだ。ステージの裏にいる時とは違う何かが、ステージに立ってカメラが回ると僕の中から出てくる。でも、そのようなエネルギーがいつまで湧き出るか分からないので、僕が精一杯できる時、自信を持っている時、人々が認めてくれる時に、もっといい姿をたくさん見せることが今の目標だ。そして、これから何年後になるか分からないが、ステージに立つ僕の姿が自分で少しでも気に入らなくなったら、僕はステージに立つことをやめるつもりだ。少しでも「あ、これ、やばい」と思ったら、立たないほうがいい。その時はいっそ、もっと音楽に集中して、誰かをプロデュースする方向に進むことが正しいと思う。いつかそうなるんじゃないかな。

―「Wild and Young」が本当にG-DRAGONの現在の姿ように思える。だが、ワイルドにならないように自分である程度、調整する部分もあると思うが。

G-DRAGON:「Wild and Young」は僕なりの人生のモットーのようなものだ。でも、ひねくれすぎてはいけない環境なので、ある程度、適度な境界線を守らなければならない部分がある。だから調整するしかないんだ。でも、その気持ちだけは常に持っていたいと思うし、そのために戦っている部分もある。まだ若く血気盛んな時なので、色々なものをやっているけれど、これからが心配なのも確かだ。年を取って性格が変わったら、決まりきったことをやるようになるのではないかという心配もあるし。でも、今のところは心配せず、やりたいと思うことをやりながら生きていると思う。

―クォン・ジヨンという一人の人間の人生と、スターであるG-DRAGONの人生のバランスがとれていると思うか?

G-DRAGON:2、3年前までは本当にたくさん悩んだ。僕と同じ時期にこの仕事を始めたBIGBANGのSOLや他のメンバーたちも悩んだことだ。それは「今、僕たちはちゃんと歩んでいるのだろうか」「もし意志がぶれたり危うくなったりしたら、その後の僕たちは何をすればいいのか」という悩みだった。でも、その答えは、ただこれが僕であるということだ。ここまでがクォン・ジヨン(G-DRAGONの本名)の人生で、残りはG-DRAGONの人生というよりも、ただ二人の間にある隙間をできるだけ縮めながら生きることが、僕なりの生き方だ。もし、二人の人生を区別して生きるとしたら、悲しく、心が重いと思う。幼い頃からやってきたことだし、これからもやるしかないことだと自分で認めて、それに合わせて生きているので、時間が足りないこと以外は、いつも気持ちよく生きていると思う。

―音楽を作るG-DRAGONがいない人生は想像さえできないと思う。

G-DRAGON:さあ、どうだろう……。本当に何もできないと思う。僕ができることなんて他にないと思うから。音楽以外? まず、音楽以外に僕がうまくできることがない。もしそうなったら、あ……どうすればいいんだろう。本当に分からないな。

―今とても幸せだと思う。

G-DRAGON:すごく幸せだ。点数にしたら、90点かな。自分に一言言うなら、「君はよくやっている」と言ってあげたい。

記者 : イ・ギョンジン、編集 : キム・ヒジュ、翻訳 : ナ・ウンジョン