「応答せよ1997」放送終了…“バカバカしいだけではなかった私たちの歴史”

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※この記事にはドラマ「応答せよ1997」の結末に関する内容が含まれています。
写真=CJ E&M tvN「応答せよ1997」最終回画面キャプチャー

初恋・パスニ・同性愛、恥ずかしくない自画像を描いたドラマ

「応答せよ1997」最終回である第16話「初恋が叶わない理由」が放送されてから、Twitterのタイムラインは初恋に染まった。それぞれ違う年に訪れた初恋の思い出を思い返していた。

ずっと「シウォンの夫が誰なのか」に対する疑問で、綱引きをしていたこのドラマの最終回のタイトルが、結局「釣り」であることが分かったが、喜んで釣られよう。シウォンの夫を探す道のりは、私たちのそれぞれの初恋を探させた。

お互いに友達であり、初恋であったユンジェ(ソ・イングク)とシウォン(Apink チョン・ウンジ)は、結婚にたどり着いた。意味深いタイトルとは裏腹の、異変のない結末にがっかりしたのではないかと、2012年にシウォンのお腹にいる赤ちゃんが既に“2児”だというどんでん返しも付け加えた。最後までシウォンをめぐって繰り広げた“兄弟の乱”で退いた兄テウン(ソン・ジョンホ)は、お互いに“みっともない姿”まで全て見せた医師(イ・ジュヨン)と新しい縁で結ばれ結婚した。

シウォンとユンジェカップルが例外なだけで、「初恋が叶わない理由」は殆どの人々に該当する話だ。「応答せよ1997」の人物も同じだ。ユジョン(シン・ソユル)は、初恋ではないハクチャン(ウン・ジウォン)と結婚を控えており、高校生のときからユンジェを後ろで見つめるばかりだったジュニ(INFINITE ホヤ)も新しい恋を探したことを暗示した。

初恋が実らない理由、ずる賢くなかった若さ

感性ビンテージドラマを掲げた「応答せよ1997」が良かったのは、「記憶」を、思い出しても良い「思い出」に変えたからではないだろうか。今までのドラマ、または現実で恥ずかしく思われてきた人生の汚点を、なかなか良い自画像に描いて見せた。

話を貫いているテーマである「初恋」は、初々しく恥ずかしい過去ではなく、ずる賢い計算がなかった若さだったと慰める。情熱と純粋さだけで挑み、叶わなくても「人生でそれだけ劇的な場面が一つくらいはあったということを喜ぼう」と背中を叩く。初恋が過ぎてしまえば、それだけの新しい恋が訪れるかも知れないから。

ドラマ史上、アイドルのファンに対する考察と考証が最も優れたドラマであるだけに、“パスニ(芸能人に夢中な女性)”の汚名を晴らしたことも重要だ。「毎日のようにサルやろうを追っかけまわす」とため息をつく、シウォンの父ソン・ドンイルの視線で代弁される彼らを代表し、シウォンは「パスニの基本は情熱!」と一喝した。この台詞はおそらく「応答せよ1997」という、ケーブルTVドラマのシンドロームを巻き起こした、パスニ出身の作家の堂々とした弁明であろう。

何よりもジュニの愛が格別ではなかったことが印象的だった。異性愛者の観点から、同性愛を面白く表現したり、タブーとされるものを罪悪として排除せず、ただ初恋が実らなかったが他の恋を待てる、同じ心情として描いた。ユンジェとシウォンカップルを送り、一人残されたジュニを迎えに来た赤いスポーツカーの中の人物の性別は重要ではない。ジュニに新しい恋が訪れたのは、めでたいことだ。

一方、訛りがヤクザのアイコンだったり、助演一人や二人のための装置として使われなかった点にも注目したい。1990年代に釜山(プサン)で高校に通った6人の男女の思い出を描くこのドラマで訛りは、この物語自体の特権のように思われた。今までのドラマで訛りがコミカルな設定ではなく、人物の日常として描かれたことは、あまりなかった。慶尚道(キョンサンド)出身で構成された俳優の「演技」ではない訛りが、さらにリアリティを与えたお陰だ。

2005年にシウォン家の玄関を開けようとしたユンジェは驚愕した。暗証番号が自身の誕生日、シウォンの誕生日でもない、H.O.T.のメンバートニー・アンの誕生日だったからだ。思い出というのはそういうものだ。パスニを卒業して久しいが、IDや暗証番号など、あちらこちらに残っている“オッパ”(兄の意。女性が親しい年上の男性やスターを呼ぶ呼称)の痕跡のように、記憶として認識できないほど、自身の生活に深く入り込んでいる。考えてみれば、誰かにとってはくだらなく思われるかもしれない幼い日々も、バカバカしいだけではない歴史だった。

記者 : イ・ヒョンジン