「嘆きのピエタ」アカデミー賞出品作に決定!

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写真=キム・ギドクフィルム

12日の審査委員会で「資本主義の弊害により崩れた人生への卓越した省察」と満場一致で選定

ベネチア映画祭で金獅子賞を受賞した映画「嘆きのピエタ」がアメリカのアカデミー賞に出品される。

映画振興委員会(委員長:キム・ウィソク)が、2013年2月にアメリカの映画芸術科学アカデミー主催で行われる第85回アカデミー賞の外国語映画賞に出品する韓国映画としてキム・ギドク監督の「嘆きのピエタ」を選定した。

今回の公募に寄せられた作品は、イム・サンス監督の「蜜の味 テイスト オブ マネー」、ホン・サンス監督の「3人のアンヌ」、ユン・ジョンビン監督の「悪いやつら」、キム・ギドク監督の「嘆きのピエタ」、チュ・チャンミン監督の「王になった男」の5作品だった。

映画振興委員会は、9月12日に5人以下の審査委員会を設置し、作品の完成度やアメリカでの配給力、監督および出品作の知名度などを考慮し、審査を行った。審査委員会で「嘆きのピエタ」は圧倒的な支持を受け、満場一致で出品作に選ばれた。「全世界が直面している経済危機とそれによる富の二極化、資本主義の弊害による崩れた人生の様相を、キム・ギドク監督ならではの映画的文法と言語で素晴らしく省察した」と評価した。

これまでアカデミー賞に出品された韓国映画は、2009年の「母なる証明」、2010年の「裸足の夢」、2011の「高地戦」などがあるが、受賞には至らなかった。

第85回アカデミー賞外国語映画賞に出品する韓国映画の選定について(審査総評)

どの年よりも幸せだったが、激しい討論もあった審査だった。アカデミー賞外国語映画賞への出品を申請した5作品は、韓国映画の卓越した業績を見せてくれたということが全審査委員の共通した評価だった。

出品を申請したすべての作品が甲乙つけがたいほどの高い完成度、芸術性、大衆性を持っているという共通認識の下で、審査委員は「同時代の普遍的な人生の有り様を貫く痛烈な問題意識を有しているか」と「それを独創的な美学と独自の時間・空間的認識によって具現したか」を最優先の審査基準として提示することで合意した。韓国映画の発展レベルと世界での地位を考慮したとき、アメリカ市場での配給および興行の可能性は最も重要な基準ではなく、様々な評価要素の一つにすぎないということも、今回の審査委員らの一致した見解だった。

申請された各作品の個性と長所、強みについての激論の中でも、キム・ギドク監督の「嘆きのピエタ」は圧倒的な支持を得て、満場一致で出品作として選ばれた。全世界が直面している経済危機とそれによる富の二極化、資本主義の弊害による崩れた人生の様相を彼ならではの映画的文法と言語で素晴らしく省察したという評価が相次いだ。韓国の現実に基づいてはいるが、貪欲さと貧困が呼び起こした家族との関係の崩壊など、危機の兆しは世界各国に共通して見られる。アカデミー賞の審査委員とアメリカの観客も十分に共感できる題材とストーリーだという点も選定の重要な根拠となった。

「富の二極化という資本主義の世界的問題を、韓国のある工業地域で生存と破滅の恐怖にもがく人間を通じて衝撃的に解明している」「大資本の支配力がますます大きくなっている韓国映画界でキム・ギドク監督は、独自の韓国映画的言語と美学を独立映画作家の精神をもって作り出し、最高の芸術作品を完成させた」という評価は、審査委員らの意見を集約したものである。

「悪いやつら」と「王になった男」は、ジャンル映画としての完成度が高く、韓国の観客から支持を得て、興行の可能性が高い作品だということが主に議論された。「悪いやつら」は、ギャングスター・ムービーと1990年代の韓国社会の一面を見事に融合させており、「王になった男」はこれまでにも多く扱われてきた“王子と乞食”という劇的な題材を光海の物語と結び付け、興味深いストーリーに発展させたという評価を受けた。撮影、美術、衣装など、映画の技術的な要素でも良い点数を得た。「3人のアンヌ」は、ホン・サンス監督ならではの映画および現代性に関する美意識とともに“異邦人の目に写った韓国人、韓国社会”というユニークな題材が重要な強みとして言及され、イム・サンス監督の「蜜の味 テイスト オブ マネー」は韓国の資本主義に対する鋭い批判意識を、優れた色感と構図の映像で表現したという長所が認められた。

だが、審査委員らは議論により、痛烈な時代認識と人生に対する省察、審美的な大胆さという点で、韓国を代表して来年のアカデミー賞外国語映画賞に出品する作品としては、「嘆きのピエタ」が最もふさわしいという最終的な結論を出すとともに、アカデミー賞の授賞式で韓国映画史上初の外国語映画賞へのノミネートおよび受賞を期待しながら審査を終えた。

2012.9.13
第85回アカデミー賞外国語映画賞出品作選定審査委員会一同

記者 : イ・ヒョンジン