Vol.1 ― 「カクシタル」を大ヒットに導いた“末っ子たちの反乱”

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※この記事にはドラマ「カクシタル」の結末に関する内容が含まれています。
写真=KBS
ドラマ「カクシタル」が、多数のカクシタルを登場させ“大韓独立万歳”というメッセージと共に幕を閉じた。

6日午後に韓国で放送されたKBS 2TV水木ドラマ「カクシタル」の最終回では、数多くの犠牲者と気昇会の会長である上野ヒデキ、木村シュンジなどの死が早いスピードで展開された。

「カクシタル」は日本統治時代を背景にし、韓国型ヒーローである“カクシタル”を登場させ、興味深いストーリーと痛快なアクションで視聴者を満足させた。最後までポジティブなメッセージを伝えながら終了した「カクシタル」。同ドラマが残したものはなんだろうか。


“トップスター出演=必ずヒット”の公式を破る

「カクシタル」はいわゆるトップスター、韓流スターがいないドラマだ。トップスターが出演するライバルドラマの中で、前半から堂々と水木ドラマ視聴率1位を占めながら優位に立った。その意味で“末っ子たちの反乱”と呼ばれ話題を集めた。

主役を務めたカクシタル=イ・ガント役のチュウォンは、名もない英雄として成長していく姿をナチュラルに描き出した。また、今回初めてアクション演技に挑戦したが、武術監督から“LTE級成長”と絶賛されながら、ドラマに活力を吹き込んだ。

木村シュンジ役のパク・ギウンも、始めの韓国人より韓国を愛する日本人のキャラクターから悪人として変化していく姿を見事に演じきった。前半に見せたピュアで愛らしいスマイルは中盤から一気に消え去り、本物の悪人である木村シュンジとして変貌した。それだけでなく、表向きには悪人の姿をしていても、親友であるカンドと愛するモクダンとの対立で悩む内面の葛藤を優れた演技で表現し、好評を得た。

そのほかにも新鋭チン・セヨンをはじめ、子悪魔のように変身したハン・チェア、演技派俳優チョン・ホジン、チョン・ノミン、キム・ウンス、アン・ソクファン、キム・ジョンナン、バン・ミンジョン、キム・ミョンス、キム・ミョンゴンなどは自分の役を完璧にこなし、ドラマの完成度を高めた。

写真=「カクシタル」公式Twitter、“カクシタルごっこ”の認証ショット

いまの主流は韓国型ヒーロー

「カクシタル」が残したものの一つは、まさに韓国型ヒーローである。ハリウッドにはスパイダーマン、アイアンマンなど数多くのヒーローが存在する。しかし、韓国には特にヒーローと呼べるような人物がいなかった。「カクシタル」はいままでに存在しなかった韓国型ヒーローを誕生させた。韓国型ヒーローはハリウッドのヒーローのように超能力は使わない。ただカクシタルの仮面を被り、鉄尺八を持って悪の勢力をやっつける。

このような韓国型ヒーローの誕生は、ドラマ「カクシタル」の現場でも感じられたという。現場の関係者によると「カクシタル」のセット場が位置した陜川(ハプチョン)映像テーマパークには、カクシタルを被って訪れる観光客が急増したそうだ。それだけでなく、小学生たちの間に“カクシタルごっこ”が流行しており、「カクシタル」が生活の中にどれだけ広がったのかを物語る。


歴史意識を持たせた上質ドラマ

「カクシタル」は韓国人の悲しい歴史を振り返らせたドラマだった。韓国の辛い歴史をはっきり暴き出し、視聴者が「歴史をちゃんと知らなければならないと思った」という告白をすることになったのも、「カクシタル」の影響だった。

「カクシタル」は虚構のヒーローを中心にストーリーを描いたが、そのヒーローの話の中に実際に起きた時代的な状況を反映させた。そのため、当時韓国人が涙を泣かしたように現在の視聴者も泣いた。「カクシタル」のセリフ、また劇中の韓国人のセリフを通して視聴者たちは一緒に泣いたり笑ったりしながら共感した。

「カクシタル」は、水木ドラマ1位という見える成果だけがすべてのドラマではない。視聴率と水木ドラマ1位という栄誉は、「カクシタル」が残したものの中で一番小さな部分に過ぎない。あらためて歴史認識を高めたドラマ「カクシタル」の余韻はしばらく続く見込みだ。

写真=放送画面キャプチャー、「カクシタル」最終回

記者 : イ・ウンジ