【MV審議 Vol.2-2】文化統制、過去に逆戻り?“韓国はどうして?”
TVREPORT |
インディーズミュージシャン&文化連帯“過去に逆戻り?”
インディーズミュージシャンはインターネットがほぼ唯一の広報手段である。音源会社との交渉力が弱いインディーズミュージシャンが、“青少年観覧不可”とランク付けされたら?画一化した歌謡界で個性のある音楽をやっている非主流音楽人にとっては致命打になりかねない。「一言で、ありえない」44のインディーズレーベルが集まった独立音楽制作者協会の会長キム・ミンギュ(エレクトリックミュージック)氏の一喝だ。キム氏は「“彼ら”は90年代半ばのレコード事前審議の廃止過程を見ていないのか?」と聞き返した。1999年から文化運動を行っている文化連帯も同意見だ。
かつて、韓国のミュージシャンは公演倫理委員会の事前審議を通過してこそ、極を発表することができた。審議制度は何人かの志のある音楽人の犠牲と努力によって撤廃された。(チョン・テチュンは90年代初頭から審議制度の撤廃のために持続的に戦った。ソ・テジは4枚目のアルバム「Come Back Home」の収録曲「時代遺憾」を歌詞なしで発表した。「時代遺憾」が審議不可判定を受けたことに対する抗議だ。この事件をきっかけに事前審議制度に対する反対世論が沸き起こり、憲法裁判所の違憲決定で1996年に廃止された。ソ・テジは1996年に歌詞を入れた「時代遺憾」を再びリリースした)
文化連帯は「レコードの事前審議制度の撤廃は芸術の創作に対する自由、前近代的な文化監視と検閲に対する挑戦だった」とし、「韓国の大衆音楽史に一画をなす事件」と説明した。
続いて「MVを事前検閲するというのは時代錯誤的な発想だ。過去、文化芸術を銃や剣で威嚇して統制した軍部独裁時代に回帰すると言っているのと同じ」と付け加えた。
外国系レコード会社&韓国プラットフォーム会社“自律と逆差別”
“自律に任せるべきなのに”外国系レコード会社と韓国のフラットフォーム会社も困惑している様子だ。韓国のライセンスレコードは、海外のミュージシャンの国より遅れて韓国で発売される。MVの公開時期も遅い。各国の支社が盛り上がって広報しているとき、韓国だけ1週間以上も待たなければならない状況になる。
ライセンスアルバムは韓国で販売量が極めて低調している。発表まで遅れたら、さらに低迷する可能性が高い。外国支社の広報物を見た外国歌手のファンは、iTunesとAmazonなどを通して音源とレコードを購入するはずだ。さらに、海外のミュージシャンがこれを知ったら?自身のMVが審議を受けるといったら、黙っているだろうか?
アメリカとイギリス、フランスなどの先進国には審議がない。制作者とレーベルが自律的に審議を行う。レコードの場合、青少年に影響を与えるかを自ら判断し、ステッカーを貼る。
“YouTubeだけ得をする”
審議対象に含まれた韓国のプラットフォームは、“逆差別”という立場を取っている。外国にサーバーを置いているサイトは審議の対象にはならない。最も大きな問題は、世界最大の動画投稿サイトYouTubeだ。YouTubeは韓国音楽事業従事者として登録していない。それに、サーバーも外国にある。審議制度の恩恵を外国企業であるYouTubeがそのまま受けることになる。FacebookやTwitterなどのソーシャルネットワークサービス(SNS)も同様だ。SNSユーザーはMVを自由にシェアしている。韓国企業だけに不利な制度だ。
K-POPファン“韓国はどうして?”
日本にはYouTubeと同じぐらい有名な動画投稿サイトがある。ニコニコ動画だ。ネットユーザーが映像を見ながらその場で感想を残すサイトだ。ネットユーザーの意見はすぐに映像に表示される。ニコニコ動画で人気が高い動画は、韓国歌手のMVとステージ映像だ。「ミュージックバンク」「ショー 音楽中心」など韓国の音楽番組の動画には必ずこのような感想が付いてくる。「『ミュージックバンク』はなぜ、15歳観覧可なんだ?」「韓国は歌番組を15歳以上だけが見られるのか?」「放送規制が厳しいね」などだ。
SUPER JUNIORのファンであるナミコさん(23)は、MV審議に怒りを露わにした。彼女は「韓国はどうしてそんなことをするんですか?歌番組の視聴等級も理解できないのに、MV審議を一体なぜするのか?」と聞き返した。
続いて、「丸い表記(年齢制限の表記)があるのも嫌だ。韓国の歌手がニコニコ動画のような日本のサイトにMVを先行公開してほしい」と。
記者 : イ・スア