「応答せよ1997」この優れたドラマが地上波だったなら…

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tvNのドラマ「応答せよ1997」が静かな波乱を起こしている。ケーブルチャンネルのドラマはB級だと思う人々に一発見舞うようなドラマ「応答せよ1997」。地上波で放送されたならどれほど反響が大きかっただろうか、想像するだけでもぞくぞくする作品である。

「応答せよ1997」は、タイトル通り、1997年の釜山(プサン)を背景にそれぞれ個性溢れる高校生6人の“熱病”のような時期を描く。当代最高のライバルだったアイドルグループH.O.T.とSECHSKIES(ジェクスキス)に向けたファンダム(特定のファンの集い)、シウォン(Apink チョン・ウンジ)とユンジェ(ソ・イングク)の初々しい恋愛、ジュニ(INFINITE ホヤ)のユンジェに向けた同性愛、癌の宣告を受けた父親と家族の感動的なストーリーで完成度の高い脚本となっている。演技の経験がまったくない、または浅かったアイドルたちが、シン・ウォンホプロデューサーとイ・ウジョン脚本家の手により、もっともらしい役者として誕生した。

映画「サニー 永遠の仲間たち」と「建築学概論」に続く“レトロコード”を持つ「応答せよ1997」が、レトロが愛される今のトレンドに便乗したことは否めない事実だ。しかし、作品が放送初期からこれだけ脚光を浴びることになった要因を、トレンドに乗っただけだと思うにはドラマ自体が持つ“パワー”が大き過ぎる。実際にアイドルの熱狂的ファンだったスタッフから始まった1997年ファンダムに対する徹底した考証、1人のキャラクターも疎かにしない優しい台本と演出力、また小物一つ一つ、背景1ヶ所までリアル過ぎて、見ている間、懐かしい気持ちにさせ、タイムマシンがあれば乗って行きたいと思わせる魔力まで……。「応答せよ1997」を愛せずにはいられない理由だ。

視聴率も順調だ。7日に放送された5、6回が平均視聴率1.6%、最高視聴率2.1%(TNms基準)に達した。ケーブルドラマとしては目立つ成績だ。しかも、オフラインでのクチコミとオンラインでの影響力が広がり、今後の興行にも青信号が灯っている。

ケーブルチャンネルの開局以来、数十億ウォンの制作費と俳優のギャラを投じ、地上波ドラマ顔負けの優れた作品性で評価されたドラマは何本かあった。「応答せよ1997」は(ドラマ専門人材ではなく)地上波芸能局出身のプロデューサーとバラエティ番組の脚本家がタッグを組み、ケーブルチャンネルの限界を超えて誕生させた作品にしては、完成度や面白さにおいて地上波に劣らない出来のいいドラマだ。KBS 2TV「ハッピーサンデー-男子の資格」を演出し、「1泊2日」を導きバラエティ番組で猛活躍したシン・ウォンホプロデューサーとイ・ウジョン脚本家が、これほど機知に富み、細かいところまで行き届いたドラマを作り出したことは、有難い限りだ。

実は、人々の予想とは違って、ケーブルドラマの制作環境はあまり良いとは言えない。地上波からケーブルに移ったシンプロデューサーやイ脚本家がそこで出会ったのは、地上波に比べて少ない制作費と人員だった。俳優のキャスティングも難問の1つだった。いわゆるA級俳優たちには出演を断られ、KBSにいた時代の義理を思ってカメオ出演を頼んだトップMCからも“出演不可能”という答えが戻ってきた。

それにもかかわらず「応答せよ1997」は、これみよがしに綺麗な映像と完成度を見せ、KBSを離れて新たな場所に移ったシンプロデューサーとイ脚本家もメンツが立った。数十億ウォンの制作費を投じたばかりで水準以下の作品は「応答せよ1997」に注目しなければならないだろう。

記者 : ユン・ガイ