「10人の泥棒たち」キム・ユンソク、チョン・ジヒョンなど泥棒たちに敬礼!

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ここに5人の“専門家たち”がいる。美術館一軒くらいは簡単に荒らすことができるポパイ(イ・ジョンジェ)、イェニコール(チョン・ジヒョン)、ガム(キム・ヘスク)、ザンパノ(キム・スヒョン)は計画から演技に綱渡り、そして運搬まで窃盗の全過程を完璧な分業体制で進めている。香港にも専門家たちがいる。強力なリーダーチェン(サイモン・ヤム)とその一党は臨機応変に警察を追い払うほど大胆不敵である。このドリームチームを釣りあげた計画者であるマカオ・パク(キム・ユンソク)のターゲットは伝説的なダイヤモンド“太陽の涙”である。自分の利益のためにマカオに集まった泥棒たちは誰も信じず、マカオ・パクが予想しなかった人物ペプシ(キム・ヘス)まで加勢し、それぞれの計画を立てる。それぞれ違う下心を持って集まった彼らは、“太陽の涙”を盗み出すことができるのだろうか?ハッピーエンドが誰のものになるか分からない状態に勝敗の行方はスーパーボールのように至る所へ飛び跳ねる。

【鑑賞指数】

期待されたものを提供…7/10点

泥棒たちそしてダイヤモンド。映画「10人の泥棒たち」ではこの文章の一節から予想できるストーリーが展開され、期待される見せ場を提供する。制作の段階から韓国版「オーシャンズ11」という別名をもつ映画は、既にお馴染みの見どころをどれくらい効果的に伝えるかに焦点を合わせた。「ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル」を連想させる高層ホテルでの綱渡りアクションや、香港ノワール(犯罪や悪人などをテーマにしたもの)に対するオマージュ(尊敬する作家や作品に影響を受けて、似たような作品を創作する事)のような銃撃シーンは、ハリウッドと香港映画で見られる快感を同時に提供している。誰がどう盗むかが最も重要なケイパームービー(それぞれ得意技を持つ犯罪者が寄り集まり、大きな獲物を狙う強奪計画を実行していく物語)として、最も際立つポイントは“どうやって”ではなく“誰が”にある。10人の泥棒の能力と魅力は相反していて、多種多様であり、同時に豊かに交差しながら映画の特性を作り上げている。その結果、登場人物1人1人に似合うセリフとキャラクターといった翼を付けた俳優たちは力強く飛び回る。

もちろん映画を構成するすべてのものが輝く「10人の泥棒たち」も光を失う瞬間がある。マカオ、香港、ソウル、釜山(プサン)を行き来して撮影したワイヤーアクションシーンも、香港と韓国のスターが動員されたキャスティングも何一つ不要なものはないことは明らかだ。しかし、たくさんのことを詰め込みすぎて、映画が重くなり、後半になって、スピードを出さなければならないジャンルにも関わらず、その重さに耐えることができなかった。ここにアクション、コメディ、恋愛まで、すべてを取り入れようとしたストーリーは、沢山の登場人物に“合コンの場”を与えた。青春恋愛物語から悲劇的なラブストーリーの主人公まで、皆が巨大な“愛の遊覧船”に乗ったわけだ。それは、キャラクターの関係との化学反応により起こった愛だけに、即座に効果的なものではないだろうが、瞬間ごとに進歩のない方法で表現される感情は、「ビッグ・スウィンドル!」の延長線上にある衝撃的な結末とともに物足りなさを残した。しかし、「最高の娯楽映画を作りたい」という監督の抱負は大部分を成し遂げた。見ている間飽きさせることなく、一度に集めることが難しいスターたちの相乗効果を見られること、娯楽映画としてそれ以上の楽しみは望めないだろう。

記者 : イ・ジヘ、翻訳 : チェ・ユンジョン