「アイドゥ・アイドゥ」陳腐なストーリーが足を引っ張る

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写真=KBS、MBC、SBS

“ラブコメの女王”キム・ソナが引っ張る「アイドゥ・アイドゥ~素敵な靴は恋のはじまり」の将来は?

水曜日と木曜日は、一週間の真ん中であり、疲れた現代人の生活に活力が切実に必要な時間でもある。その中で水木ドラマは、それぞれ違う魅力をアピールし、視聴者たちを慰めてくれる。そして6月7日から、3つの放送局の水木ドラマ第3回戦が始まった。それぞれが出した水木ドラマは全て面白いが、私たちはその中で一つのドラマに注目する必要がある。


帰ってきた“ラブコメの女王”キム・ソナ、視聴率は……

MBC「アイドゥ・アイドゥ~素敵な靴は恋のはじまり」(脚本:チョ・ジョンファ、演出:カン・デソン、以下「I do」)は、女優キム・ソナがSBS「女の香り」をヒットさせた後に選択した作品だ。「I do」は、水木ドラマ第2回戦で、視聴率1位でスタートを切ったが、最後には一番低い視聴率で幕を下ろした「キング~Two Hearts」の後続作品である。それだけに少しプレッシャーが感じられるはずだ。だが、女優キム・ソナは自信を持って「アイドゥ・アイドゥ~素敵な靴は恋のはじまり」の主人公になり、同時間帯に放送されるSBS「ファントム」に出演するオム・ギジュンと公式的に視聴率を巡って賭けまでした。だが、それはあまりにも過度な自信だったのだろうか。

「I do」の視聴率は8~9%で現在3局のうち、最低となっている。女優キム・ハヌルと共に“ラブコメの女王”と呼ばれるキム・ソナにとっては恥ずかしい成績だ。ホ・ヨンマン原作の「カクシタル」と“サインアリ(ドラマ「サイン」に夢中になる病)”という新しい造語まで誕生させたドラマ「サイン」のスタッフが作ったSBS「ファントム」を相手にするには、力不足だったのだろうか? 放送から2週間しか経っていないドラマに対して、あまりにも残酷な判断ではないだろうかとも思うが、今のままでは水木ドラマ競争で「I do」は、苦戦を強いられると見られる。


俳優の演技変身は成功!

“ラブコメの女王”キム・ソナが先頭に立った「I do」は、気難しい靴デザイナーに変身したキム・ソナの演技と、図々しい新入社員イ・ジャンウの演技が好評を得ている。これまでキム・ソナが演じてきたキャラクターは、少女漫画「キャンディ・キャンディ」のキャンディのような“才能のある”キャラクター、または2%足りないキャンディのようなものだった。

だが、人々は彼女が演じるキャラクターへの同情と代償行動で、彼女が出てくるドラマを信じて選択した。そのお返しとしてキム・ソナは、全作品で演技ではなく、人生を見せてくれた。それくらいキャラクターを自身のものとして作ってきたという話だ。“ヒット保証小切手=キム・ソナ”という方程式が成立した理由もここにある。

彼女が演じるファン・ジアンは、父の喜寿のお祝い途中、ファッションショーの会場で自身の会社が提供した靴に問題が起きたという連絡を受け、直ちに会場に向かってトラブルを解決するベテランデザイナーであり、“ワーカホリック(仕事中毒)”でもある。おかげで権威的な父との関係は極端に悪くなり、職場内では“メドゥーサ”と呼ばれるほど怖い上司である。しかし、このようなジアンにも悩みができた。30代後半にも関わらず2年以内に閉経が来るかも知れないという検査結果が出たのだ。

その中で偶然な出会いから一夜を一緒に過ごしたパク・テガン(イ・ジャンウ)の子供を持つことになった事実まで知ってしまう。独身貴族だったジアンの人生に大きな変化が一気に起きたのだ。

毎日ドラマ(月曜から金曜日まで毎日放送されるドラマ)で主婦に高い人気を得たイ・ジャンウも、前作のイメージから脱し、間抜けな雰囲気のパク・テガンに変身して好演を見せている。その他にもイム・スヒャン、パク・コニョン、パク・ヨンギュのような豪華な脇役が加わるということで、視聴者の期待は高まった。だが、伏兵は別のところにあった。「I do」の問題は、ライバルドラマではなく、ストーリーだった。


モザイクをかけたラブコメディが視聴者たちに通じるだろうか?

ストーリーは、ありふれた内容だ。ラブコメディの方程式を誰が定めたわけではないが、「I do」は視聴者が馴染んでいるすべての要素を組み合わせたような印象だ。

2NE1の「I AM THE BEST」を十八番で歌いそうなアルファガール(社会で大活躍する女性)、偶然の初体験でチャンスでないチャンスを掴む一人の男、21世紀の女性版ホン・ギルドンを見るような会長の庶子、ハンサムでマナーの良い医者、それに強い上司に押される不平不満の多い小心な部下まで。顔なじみのキャラクターたちと題材は、視聴者たちに親近感より陳腐な印象を与える。

写真=MBC
「I do」の面白さはストーリーから出るものではなく、女優のファッショントレンドとパク・コニョンの鳥肌の立つコメントから出ると言っても過言ではない。結局、誰でも分かる平面的で陳腐なキャラクターが問題だ。ぐらつく酔っぱらいはいつも酔って本音を言うし、新入社員の情熱は天を衝くほど高いし、主人公をそそのかす友人はどこかで見たような行動を繰り返す。彷徨う20代の悩みと、仕事でやつれた30代の悩みと愛を論じるには、ドラマのストーリーがあまりにも貧弱だ。

公式サイトの企画意図とキャラクターを紹介するページだけ見ても、ドラマの結末や葛藤の様子が全部透けて見える。医師のチョ・ウンソン(パク・コニョン)からは「最高の愛~恋はドゥグンドゥグン~」のユン・ピルジュ(ユン・ゲサン)を、新入社員テガン(イ・ジャンウ)からは「新入社員 Super Rookie」のカン・ホ(神話 エリック)を彷彿とさせるのはなぜだろうか。シンデレラの性別が変わったことが新しいラブコメディだ、という定義は無理だろう。


挽回する機会はまだ残っている

まだ4話だけしか放送されていない状況だ。先日最終回を迎えたKBS「赤道の男」も、最初は一番低い視聴率で出発したが、その後1位に上がったことがある。違うジャンルではあるが、それだけ今後の可能性まで否定する必要はないということだ。ジアンは妊娠したことを知ることになり、副社長のヨム・ナリ(イム・スヒャン)はテガンに興味を持ち始めた。チョ・ウンソンは、ジアンの両親にすでに“チョソバン(義理の息子)”と呼ばれている。ラブコメディの典型で人気要素だと言える恋愛模様が、5話から本格化する見通しだ。先にキャラクターの陳腐さを短所に挙げたが、恋愛模様は視聴者に親近な要素なので、勝利の要因になることもできる。制作発表会でカン・デソンプロデューサーが言及したように“現代人の休息のようなドラマ”になれるのか、まだ見守る必要がある。

刑事物、ラブコメディ、時代劇がそれぞれ魅力をアピールする水曜、木曜の夜は、視聴者に楽しい悩みを与える。今始まったばかりの水木ドラマの勝者は誰になるか。今後が期待される。

写真=MBC

記者 : ホ・ジョンユン