「追跡者」ベテラン俳優の魅せる憤りの演技“目が離せない”

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写真=SBS

SBS「追跡者 THE CHASER」キム・サンジュン&ソン・ヒョンジュ

腹が立って見ていられない。娘がひき逃げに遭って死んだのに、その犯人の処罰を求めたら、国の権力者がそれを止める。その裏には数々の悪が次々と表れる。このようなことに耐え切れず、精神的に崖っぷちに立たされた妻は自殺する。最後の巨悪を相手に一人で戦わねばならない“お父さんの戦争”への憤りのため、「追跡者 THE CHASER」(以下「追跡者」)は見ていられないと同時に、見ざるを得ない。

SBS月火ドラマ「追跡者」の記者懇談会が開かれた7日午後、一山(イルサン) 炭硯(タンヒョン)制作センターに、ソン・ヒョンジュ(ペク・ホンソク)とキム・サンジュン(カン・ドンユン)が参加した。2人の俳優は、それぞれ娘を失った父親ペク・ホンソクと、権力のために人の娘を殺した大統領候補カン・ドンユン役に成りきっており、ドラマの中の現実をもどかしく感じていた。


「このもどかしいストーリーを解消するのは容易ではないはず」

特に、ソン・ヒョンジュは「『あなたを許さない』と言ったペク・ホンソクが、『許すのは力を持つものに出来ることだ。あなたのようなものは諦める役だ』と告げられた時、胸が張り裂けそうだった」と振り返った。視聴者と同じようにドラマの中の現実に怒りを感じるというソン・ヒョンジュは「痛ましい経験を持っている人々のために慰めになる方向にいくと思う。もちろん、それは容易ではないはず」とも述べた。

キム・サンジュンはより現実的だった。彼は「心の鬱憤を解消し、浄化を感じさせるのとは関係なく世界は動いている。天安艦沈没事件でたくさんの人々が犠牲になったが、その後、一人一人の死についてどれくらい考えているか?(時間が経てば)何事もなかったようになるのと同じように「追跡者」もそのような結末になるんじゃないかと予想する」と話した。


「韓国で生きていく娘を考えると、もどかしくてしょうがない」

「色々なドラマで妻にも先立たれ、お母さんに先立たれたことがあるが、子供に先立たれたのは初めてだった。僕も子供を持つ親として自然と号泣した」

父親の憤りを原動力にしなければならないソン・ヒョンジュの演技は、劇中の娘ペク・スジョンと同じ年頃の娘を持つ父親だから可能ではないかと思われる。

ソン・ヒョンジュは、中学生の長女との仲を聞く質問に「韓国で女性として生きていきながら、立ち向かわなければならないものが多すぎてかわいそうだ。僕がいなくなって、この子がどんな生き方をするかを考えると悲しくなる。子供が塾を転々とし、いつも疲れている姿をたくさん見てきたが、どうすれば教育が変われるのか、もどかしい」と声を荒げた。

一方で、ソン・ヒョンジュは「撮影をしている時、娘から電話がかかってきて、いきなり“PKジュン(劇中で娘のペク・スジョンをひき逃げした人)を1回だけ殴って欲しいと言われた。既に(劇中で)死んだので一緒に撮影はしないけど、会ったらなぐってやるよと答えた」と話、会場には笑いが溢れた。


「お互いにファンになった」

第4話を迎えただけの「追跡者」だが、早くから名シーンが出た。ペク・ホンソクが妻まで失い、食卓におかれたスプーン2つを握って嗚咽するシーンを視聴者は強く支持した。このシーンでソン・ヒョンジュは「胸が痛むというよりは、声が出ないほどの状況だったと思う」と話し、当時のペク・ホンソクの気持ちを説明した。

キム・サンジュンによると、元々台本では妻のスプーン1つだけをもって泣くシーンだったという。キム・サンジュンは「パク・ギョンス脚本家は細かい演出が優れている人だが、状況をリアルに表現するのは俳優であるソン・ヒョンジュの役割だ」と話し、彼の演技を高く評価した。

また、キム・サンジュンは、2人の熱演に対する好評に「最近僕たちは“ヒョンジュバカ”と“サンジュンバカ”になって、互いの演技を褒めちぎっている」と答えた。ソン・ヒョンジュも「カン・ドンユンの役にキム・サンジュン以外の人は考えられない。共演出来る事自体が自分の幸運」だと称賛した。

大統領候補として演説したシーンが印象的だったと評価されたキム・サンジュンには、特に大統領選挙や政治に関する質問が多かった。キム・サンジュンは「特定の人物とつなげてはいない。『追跡者』を現実的に感じていただくのは感謝することだが、ドラマはドラマであるだけだ」と慎重に答えた。

SBS時事番組「それが知りたい」の司会を4年間努めてきたキム・サンジュンは「司会として強くアピールしてきたことが、演説の演技に役に立った。政界からのラブコールは一度もなく、やる気もない。ドラマの中で大統領候補となって格好つける演技をするだけで十分だ」と答えた。

2人の俳優は「『追跡者』にはNGがないというのは誰が話したか分からないが、そのため撮影でプレッシャーを感じる」と愚痴をこぼしたが、このような評価が嫌ではないようで、大きく笑った。何より「追跡者」が年配のベテラン俳優がリードするドラマの出発点になるという期待感で、いつにも増して張り切っている姿が印象的だった。

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2012/12/31 (月) 21:30~26:00

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記者 : イ・ヒョンジン