イ・ジェフン「『ファッションキング』の冷たいガヨンもいいけど、ついてきてくれる女性も魅力的」

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※この記事にはドラマ「ファッションキング」の結末に関する内容が含まれています。
爽やかな日差しが似合う人物に会った。映画館のスクリーンでも、お茶の間でも、分野を問わず独特な魅力で見る者の目を引く俳優、イ・ジェフン。彼は先月ドラマの撮影を終えたばかりで、現在は溜まった疲れを取っている最中だという。

イ・ジェフンは、観客動員数400万を突破し、ラブストーリー映画の新しい記録を打ち立てた映画「建築学概論」で、生き生きとしていながらも、女性の前では控えめになってしまう純粋な大学生スンミンを演じ、韓国で5月22日に終了したSBS月火ドラマ「ファッションキング」では財閥の御曹司として冷たい性格の持ち主でありながらも、恋愛に関しては臆病な男性ジェヒョクを演じた。

イ・ジェフンは「ファッションキング」の話が進むにつれ痩せていき、ファンからはこれを心配する声が上がっていた。これについてイ・ジェフンは「撮影のスケジュールがあまりにもハードだったので、本当に痩せてしまったんです。僕自身、鏡を見ながら『このままじゃダメだ!』と心配をしていました。睡眠時間も短く、食事もまともに取れないようなスケジュールだったので、太る暇がありませんでした。だけど、ドラマが終わった後は足りなかった睡眠を十分に取って、食事もきちんと取っています(笑)」と述べた。

議論の的となった「ファッションキング」の結末、イ・ジェフンの考えは?

「ファッションキング」は、放送終了後、視聴者の間で結末を巡る議論が大きく取り沙汰された。アメリカで贅沢な生活を送っていたヨンゴル(ユ・アイン)が、突然現れた殺し屋の銃に撃たれ死亡し、物語が終わってしまったのだ。ヨンゴルを殺した人物が誰なのかを巡って、視聴者からはいくつかの考えが挙げられている。

「色々な意見が出ているのは、僕としては良いことだと思います。結末のことで混乱した方もいらっしゃると思いますが、ドラマを最初から最後まで見てきた方ならば十分に推測できる余地を残した結末だと思います。そこが良かったですね。特に、ヨンゴルを殺した容疑者として挙げられている何人かの人物の中に、ガヨンの名前があるのを見て驚きました。ガヨンが犯人なのでしょうか?まぁ、僕は視聴者の方々の判断にお任せします」

劇中のジェヒョクとしての立場ではなく、俳優イ・ジェフンの立場から見て結末はどうだったのだろうか。イ・ジェフンもジェヒョクがヨンゴルを殺した犯人だと思っているのだろうか。

彼は「最終回の撮影は、これまで撮影してきたすべてのストーリーを整理し、けじめをつけるような内容で脚本家さんが台本を書いてくださり、それに基づいて撮影をしました。前もって撮影しておいたラストの18分は編集されてから放送されました。視聴者にとっては不親切な最終回だったかもしれないですね。ストーリーのラストについての推測や可能性を、視聴者に託したかったんだと思います。ジェヒョクは最終的に仕事を諦め、ガヨンへの愛を選びました。ジェヒョクは相手の心をどれだけ手に入れたかよりは、ただガヨンの隣にいるだけで幸せで、それだけで報われるということに気づいたのです。なので、そこでまた復讐を考えたり、競争心に火が付いてヨンゴルを殺したりする理由はなかったのではないかと思います。ですので、ジェヒョクがヨンゴルを殺した犯人とは思っていません」と説明した。

“悪い女”のガヨンに惹かれた?

ジェヒョクという人物は、一見足りないものは何もないように見える、物質的に必要なものはすべて手にしているような、幸運の持ち主だ。しかしまた同時に、父親には逆らえず殴られ、女性の前では限りなく弱くなるギャップのある人物でもある。そのような人物を演じることは、決して容易ではなかったはずだ。

「感情にかなりのムラがあるので、演じることは簡単ではありませんでした。ジェヒョクは、父に認められたい、多くの社員に尊敬されたいと強く思っている人物です。しかし、これらをすべて諦めてまでガヨン(シン・セギョン)を選ぶような人物でもあります。ガヨンへの思いを捨てることはとてもできなかったんですね。本当に両極端で綱渡りしているような気持ちで演じていたので、それが大変でした。演じていながら、ジェヒョクの心の底がどうなのか、僕自身も気になっていましたし、最後まで感情の流れを止めないよう、頑張りました」

「ファッションキング」では、同年代の若手俳優たちと共演していたイ・ジェフン。その中では彼が最年長で、20代の若手俳優たちが集まって作り上げたエネルギーのあるドラマだった。現場の雰囲気も常に活気が溢れていたという。

同じ20代の俳優たちと共演した感想を聞くと「年齢もあまり変わらないので、楽しく撮影することができました。台本がなかなか出なくて、台本が出ると劇の流れや相手役との息を合わせることに集中するため、ハードなスケジュールになりましたが、みんなでいい作品を作り上げようと最善を尽くしました。みんな明るい笑顔で撮影現場に出て演技に臨んでいたところがすごく力になりました」と答えた。

劇中でイ・ジェフンが愛していたガヨンは、ジェヒョクとヨンゴルの間で迷っていた。好きなヨンゴルを守ってほしいと自分を愛するジェヒョクに頼むなど、いわゆる“悪い女”の一面も見せた。そうでありながらもジェヒョクの頼みや問いかけには冷たい態度を貫いた。実際にイ・ジェフンはガヨンのような“悪い女”や冷たい女性に惹かれるのだろうか、聞いてみた。

この質問にイ・ジェフンは「ガヨンのような冷たい女性ももちろん魅力的ですが、一方では僕に合わせてくれる女性も魅力的ですね。僕はこの二つのタイプの性格を半分ずつ持っている女性に会えたらすごく幸せだろうな~と思っています(笑)」と答え、笑いを誘った。

1年で一躍スターに

イ・ジェフンはソン・ヨンソン監督の映画「略奪者たち」で主人公サンテの高校生時代を演じ、観客に深い印象を与えた。その後映画「Bleak Night(原題:番人)」「高地戦」に出演し、知名度を上げ、新人俳優賞を席巻するといった栄光も手にした。1年にして一躍スターとなったのだ。

「撮影で忙しかったので、最近になってやっと僕のことを好きになってくださり、見守ってくださっている方々を嬉しく思うようになりました。俳優として、そのようなことは待ち望んでいた、夢見ていたことでしょう? 僕の作品がもっと多くの方に知られ、話題となれば嬉しいです。最近それを肌で感じていて『もっと頑張らなきゃ』と思うようになりました。もっと声援に応じられるように演技も頑張って、良い作品をこれからもずっとお見せしたいと心に決めました。皆さんの関心が、演技においてプレッシャーになることもあるとは思いますが、それを乗り越えることが俳優としては当たり前の課題だと思っています」

イ・ジェフンは2003年に高麗大学に入学したが、演技への情熱を捨てることができず、学校を中退した。俳優の道を歩むことを最初は反対していたという両親は、今はどう思っているのだろうか。イ・ジェフンはこの質問に明るい笑顔で「最近は僕よりも僕のことで喜んでくれているようです」と答えてくれた。

彼は「僕が演技をしているのを見て、家族はもちろん周りの方々も幸せだと言ってくれます。両親は最近は『もっと早く演技を許すべきだった』と言っていますよ(笑) だけど、演技を準備しながら勉強をしていた過程があったからこそ今の僕がいると思います。この心構えと情熱を最後まで忘れたくありません」と付け加えた。

インタビューの最後に、イ・ジェフンは大きな抱負を語った。それは、観客や視聴者に信頼を与えられる俳優になりたいということだった。

「観客や視聴者が『この人が出る作品は信頼できる』と思えるような俳優になりたいです。この人が出演しているドラマや映画、公演は時間の無駄にならないと、素敵な時間だったと言われるような俳優になりたいです。それだけ叶えば、僕を表わすどんな美辞麗句もいらないです。簡単ではないと思いますが、気を引き締めて前進していきたいです」

記者 : ファン・ソヨン、写真 : ムン・スジ