「屋根部屋のプリンス」時間を越えるスイートなドラマ

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※この記事にはドラマ「屋根部屋のプリンス」の結末に関する内容が含まれています。
写真=SBS

SBS「屋根部屋のプリンス」、300年が経っても愛せる思い出

皇太子は、屋根部屋から朝鮮時代に戻った。たった数ヶ月の現代生活は、皇太子さえも衮龍袍を脱いで、ジャージ姿でオムライスを食べる姿に変えた。しかし、朝鮮にパク・ハはいない。ただ、ハッカ飴を口に入れ、涙を拭って寂しさに耐えるしかない。

タイムスリップ、つまり時間旅行を素材にしたドラマ「屋根部屋のプリンス」は、全てが元の場所に戻り、事件が解決され幕を閉じた。時間を超える恋物語では、時間旅行が終わった後の結果は“別れ”と決まっている。

しかし「屋根部屋のプリンス」は、輪廻という設定でやむを得ない別れからするりと逃れた。パク・ハ(ハン・ジミン)は、イ・ガク(JYJ ユチョン)を朝鮮へ帰すしかなかったが、その代わり彼の転生であるヨン・テヨンに出会った。二人が向かい合う最後のシーンで「どうしてこんなに遅くなったんだ。ずっと前から待ってたのに」というテヨンの質問にパク・ハは「どこにいたの?私はずっとここにいたのに」と意味深な返答をし、テヨンの姿はイ・ガクに重なった。

ここで、「屋根部屋のプリンス」はタイムスリップよりは輪廻にポイントがあることが分かる。転生が存在するという設定の下で、つながる過去と現在は互いにヒントとなった。一例として、イ・ガクは過去の皇太子妃(チョン・ユミ)とプヨン(ハン・ジミン)の関係を通じて、現在でもセナとパク・ハが姉妹であることを推測し、自分の命を救おうとして死にかけた現在のパク・ハを見て、皇太子妃殺人事件で死んだ人がプヨンだという事実を知った。

過去にプヨンは、自分の父と姉がイ・ガクを殺すために毒を振った干し柿を代わりに食べて死んだが、パク・ハに転生してイ・ガクへの片思いを成し遂げた。劇の序盤でイ・ガクがプヨンに出したなぞなぞ「生きても死に、死んでも生きるもの」の答えが最終回で明かされ、もう一度輪廻を強調した。

ファンタジーであるがゆえに許される想像力は、多少都合のよいシーンにも突っ込みを入れられることのない「屋根部屋のプリンス」の免罪符かつ長所として機能してきた。また、その他のラブコメディでは不可能であるシーンも作り上げることが出来た。例えば、朝鮮に戻ったイ・ガクが、宮の建物の礎石の下に隠した手紙を現在のパク・ハが取り出して読むシーン。300年の歳月を経て配達される特急エクスプレスとは、まさにこのことだろう。「300年が過ぎても、君を愛している」という最後の台詞は、“歳月が経っても変わらない愛”という形式的な美辞麗句を体現しているような気がした。

これでまた現実に戻った。屋根部屋が夏には暑く冬には寒い住居環境を持っており、焼酎に生クリームのおつまみは思ったほどファンタスティックではないということを悟る現実に戻ったが、パク・ハも、私たちも、イ・ガクのスイートな思い出を抱いて、また現在を生き続けることだろう。

記者 : イ・ヒョンジン