「屋根部屋のプリンス」「イニョン王妃の男」…“タイムスリップ”の有効活用とは

OhmyStar |

ファンタジーな題材もありきたりのものになると、もうファンタジーではなくなる。最近のドラマではタイムスリップが宇宙旅行より容易に見える。

タイムスリップ、つまり時間旅行にも道路があるとすれば、今頃その道路は渋滞しているはずだ。SBS「屋根部屋のプリンス」に次いで、タイムスリップを題材にしたtvNドラマ「イニョン王妃の男」が先月18日に始まった。「イニョン王妃の男」は約300年前、朝鮮時代の士大夫であるキム・ブンド(チ・ヒョヌ)が過去と現在を行き来できる能力を手に入れて、2012年のチェ・ヒジン(ユ・インナ)に出会って恋に落ちるファンタジーロマンチックドラマだ。

「屋根部屋のプリンス」の300年前の朝鮮時代の皇太子イ・ガク(JYJ ユチョン)はフィクションの人物であり、「イニョン王妃の男」は数回ドラマ化された1694年(粛宗20年)の朝鮮を取り扱う。仁顕王后の復位のために努力する人物のキム・ブンドを中心に、西人と南人など、政治勢力間の政争も描く。

キム・ブンドがイ・ガクと異なる点は、神秘なお守りの力で、過去と現在を行き来できるということだ。朝鮮時代の血まみれの政界において命を脅かされるキム・ブンドは忠臣であるが、現代に来た彼はチェ・ヒジンの表現通り、“ちょっと変わった”人物だ。時空を行き来するたびに、劇は深刻なアクション時代劇からロマンチックコメディに切り替わる。


“タイムスリップ”を有効活用した「屋根部屋のプリンス」…「イニョン王妃の男」はどうか?

ただ、舞台の変化が長所になるとは限らない。過去と現在の事件が全く別々に進み、まるで2つのチャンネルを回しながらドラマを見るようでは落ち着かない。2つの時空の繋がりが明確になれば、タイムスリップの活用度は「屋根部屋のプリンス」より多様になる。

一方、「屋根部屋のプリンス」の繋がりは転生にある。過去と現在に同じ人物を構成し、前世の秘密を後世で解き明かさなければならないため、タイムスリップよりは輪廻に焦点を当てている。その他はタイムスリップした人々が適応していく過程の面白いエピソードなどで構成される。

逆説的に、タイムスリップを題材にした物語が与える楽しさはそこにある。既に「屋根部屋のプリンス」で有効に活用したため、「イニョン王妃の男」のキム・ブンドが歯磨きの使い方が分からず、うがいした水を飲んでしまったとしても爆笑できない二番煎じとしての弱みがある。

二番煎じは他にもある。現代の医者が過去にタイムスリップするという同じ構成を用いて攻防中のMBC「Dr.JIN」と、SBSの「シンイ-信義-」がそれぞれ5月と8月に放送される予定だ。もはやドラマ題材としてのタイムスリップは、最近の芸能界で相次いで増えてきたオーディションプログラムと同じ体系だ。ひょっとしたら、街角で朝鮮時代の人に出会っても戸惑わず、光化門(クァンファムン)へ行く道を案内出来るようになるかもしれない。

記者 : イ・ヒョンジン