「ファッションキング」イ・ジェフン“演技王”を夢見る29歳の俳優人生

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写真:SBS
今やブラウン管は王の全盛期だ。「太陽を抱く月」の王イ・フォン(キム・スヒョン)に続き「The King 2hearts」の王子イ・ジェハ(イ・スンギ)、「屋根部屋のプリンス」の皇太子イ・ガク(JYJユチョン)まで、今、ドラマ界は王が支配している。

そしてさらに他の“王”が登場した。SBS水木ドラマ「ファッションキング」は競争が激しいファッション界を舞台に、東大門(トンデムン)から始まって世界的なデザイナーに成長する若者の姿を描いている。格差社会の底辺からトップにのし上がる主人公カン・ヨンゴルを演じるのはユ・アインだが、それに引けを取らない存在感を発揮する人物がいる。韓国映画界の新星、イ・ジェフンだ。

昨年映画「高地戦」と「Bleak Night(原題:番人)」を通じて大鐘賞、父母の祭日映画賞、青龍映画賞などで新人男優賞の5冠に輝いた“怪物新人”は、封切り10日目に観客動員数が150万人を突破した「建築学概論」を通じても多くの人気を得ている。この映画で初々しい20歳の純情男を演じたイ・ジェフンは、「ファッションキング」では冷徹なアパレル会社の跡取り息子チョン・ジェヒョク役を演じ、女性視聴者をときめかせている。チョン・ジェヒョクは、今まで、型どおりに描かれてきた“財閥2世”や典型的な“室長キャラ”とは異なる、心に悲しみと傷を抱き、父親に認められようと成功に執着する、新しいタイプの財閥後継者の姿を描く。きつい口調に少ししかめた表情、高い背丈に鍛え上げられた体、美しくもクールなスーツ姿まで、典型的な“カドナム(冷たくて傲慢な男)”だが、華麗さの中に隠された心の傷が見え隠れするという、様々な魅力を繊細な表情で演出している。

1984年生まれのイ・ジェフンは、わずか3年前に短編映画「夜は彼らだけの時間」(2007)にてデビューを飾った。その後、「PLACEBO」(2007)、「崇高な休み」(2008)、「Ah Man」(2008)、「ただの友達?」(2009)、「言語生活」(2009)、「鬼seg.呼ぶ手」(2010)などの短編映画・独立映画(配給会社を通さず、制作者が直接映画館に売り込んだ映画)で活躍した。“独立映画界のヒョンビン”と呼ばれた彼は、2011年に独立映画「Bleak Night(原題:番人)」を通じて忠武路(チュンムロ、韓国映画の中心地)にて深い反響を呼んだ。問題児だが内面に傷を持つ、深い眼差しの学校の番長ギテ役に、“イ・ジェフンの発見”という絶賛の声が後を絶えなかった。そしてこの映画に続き、チャン・フン監督の「高地戦」にキャスティングされた彼は、若くして中隊長になった大尉シン・イルヨン役を通じて、戦争の狂気を強烈な目つきで表現する印象深い演技を披露し、“男優飢謹”に苦しめられてきた韓国映画界に救世主として浮上した。

映画「高地戦争」より
各種インタビューや知人などを通して見るイ・ジェフンの実際の性格は、落ち着いていてまじめな性格のように見えるが、学生時代は目立ちたがり屋だったという。学園祭などには必ず出演して歌とダンスを披露したり、 ダンス大会に参加して1等になって賞金100万ウォンを獲得したこともある。このような優秀な成績のため、高麗大学の生命工学科に入学したが、俳優になる夢をあきらめることができず、様々なアルバイトをしながら演技を習い韓国芸術総合学校に入学し、進路を完全に俳優へと変更した。そして演劇と独立映画界でコツコツと経験を積んだ後、ついに韓国映画界にその姿を表わしたのだ。

イ・ジェフンの最大の長所は、色々な俳優のイメージを持っている顔だ。実際に似ていると言われる芸能人はキム・スヒョン、ソン・セビョク、チュ・ジフン、チョン・ジョンミョンなど、癒し系俳優の顔がまんべんなく散りばめられている。物静かなイメージに加えて、表情に善悪すべてを含んでいるという点で、パク・ヘイルとも非常に似ている。とは言え、“第2の○○”と呼ばれることなく、イ・ジェフンという名前を大衆に深く刻み付けている彼の今後に、世間の期待は高まっている。

映画「建築学概論」ポスター

記者 : キム・ミンソン