スターのいない青春ドラマ「美男<イケメン>バンド」、「ドリームハイ」より輝いた

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写真=tvN oh!Boyプロジェクト
彼らはこの時代を生きる、青春の孤独の中で成長する若者たちだった。

ケーブルチャンネルtvNの月火ドラマ「美男バンド~キミに届けるピュアビート」(ソ・ユニ脚本、イ・グォン演出)が20日の夜、第16話でその幕を下ろした。最終回で眼球浄化のメンバーたちは、遠い未来、バンドとしてもう一度集まることを暗示し、それぞれの道を選んだ。

第1、2話に出演した俳優のイ・ミンギを除くとソンジュン、INFINITE エル、ユ・ミンギュ、ヒョンジェ、キム・ミンソク、チョ・ボア、チョン・ウィチョルなど、特別なスターがキャストに含まれず始まった「美男バンド~キミに届けるピュアビート」は同じ日に放送終了となったKBS 2TV「ドリームハイ2」(チャン・ウンミ脚本、イ・ウンボク、モ・ワンイル演出)より輝いた。

「美男バンド~キミに届けるピュアビート」はイケメンで勝負していたケーブルドラマの限界を超えるシリアスな面までそなえ、視聴率とは関係なく、輝いていた。

◆イケメンの軽さとシリアスな青春の“劇的な反転”

チョン・イル、イ・ギウ、イ・チョンアなどが出演し話題となった「美男ラーメン店」に引き続き、tvNの“イケメンドラマ”の系譜を受け継ぐと期待されていた「美男バンド~キミに届けるピュアビート」は、どうだとばかりに偏見を打ち破る登場で、視聴者の視線を引きつけた。イケメンばかりが登場するドラマではなく、登場人物がそれぞれ成長する、青春に対するシリアスな話も盛り込まれ、「美男バンド~キミに届けるピュアビート」の劇的な反転が成し遂げられた。

学園暴力、貧富の格差、夢に対する熱望と現実とのズレなど、現代韓国の10代たちが経験し得る様々な社会問題をリアルに描いたことを初回から知らしめた「美男バンド~キミに届けるピュアビート」は、多少作りすぎた所もあったが、適切なラインを守り、視聴者を理解させることに成功した。

ドラマでビョンヒ(イ・ミンギ)が亡くなり、必然的にバンドコンテストに出ることになった眼球浄化はUCC(ユーザー投稿動画サイト)で一躍スターとなったものの、それぞれの考えがまとまらず様々な問題を起こした。ビョンヒが残した宿題を片付けるかのように、ジヒョク(ソンジュン)を筆頭にした裕福ではない家の子供たちが集まった眼球浄化のメンバーたちは、金持ちの家の子供が集まるチョンサン高校に進学し、バンドとして成長していった。

最終回で眼球浄化は日本の大手マネジメント会社のビジュアルロックバンドとしてのデビューの提案を断り、ジヒョクは学校を辞め本格的に音楽に取り組み、ハジン(ユ・ミンギュ)は演技の道に進み、ドイル(ヒョンジェ)は大学進学を、キョンジョン(キム・ミンソク)は刺身料理屋で仕事を、ヒョンス(エル)はソロアルバムを準備した。

友情に対して真剣に悩み、人生に対する情熱を確認した彼らには家族がいて、友達がいて、その中に夢と愛があった。もちろん、所々にドラマらしい設定もあったが。

◆ソンジュン、エル、ユ・ミンギュ、ヒョンジェ、キム・ミンソク、言葉通りの“眼球浄化”

「美男バンド~キミに届けるピュアビート」は新人俳優たちの活躍も目立った。イ・ミンギの特別出演で期待を高めた「美男バンド~キミに届けるピュアビート」は最後までその勢いが続いた。ソンジュン、エル、ユ・ミンギュ、ヒョンジェ、キム・ミンソクなど、眼球浄化の名の下に集まった彼らが新人の初々しさと情熱で青春を生きる姿をうまく表現できたからこそ、可能だったことだ。

特にSBSドラマ「私に嘘をついてみて」でドラマデビューを果たした主演のソンジュンは、懸念の声を払拭させ、イ・ミンギからバトンをうまく受け継いだ。ソンジュンはドラマの中心人物になり、流れをリードし、ドラマでの役クォン・ジヒョクに100%なりきった姿で、視聴者に強い印象を残した。反抗児的な姿のソンジュンは「美男バンド~キミに届けるピュアビート」のOST(オリジナル・サウンドトラック)に参加し、歌の腕前を披露し、多才多能な俳優であることをこのドラマで証明した。

エル、ユ・ミンギュ、ヒョンジェ、キム・ミンソクなど優れたルックスを持った新人俳優たちはドラマとともに成長し、これからの演技に対する期待を高めた。彼らは本当に友達同士のようだった。

また、青春ドラマで欠かせない、恋愛を担当したチョ・ボアとキム・イェリムは演技では多少ぎこちない面も見られたが、これからの成長の可能性を大いに感じさせた。

◆目にも楽しく、耳はさらに楽しかった

安定感のあるストーリーと構成、役者たちの好演もあったが、耳を楽しませてくれる音楽と目を釘付けにする感覚的な映像もドラマへの集中度を高めた。実際、これらの部分がこのドラマの核心で、重要な要素だった。

地上波ドラマでは見られない感覚的な映像のために、制作スタッフは始めから力を注ぎ、青春の複雑な心理と繊細な感情表現をセリフとカメラ手法で表現し、視聴者から好評を得た。

また、映画「カンナさん、大成功です!」「国家代表」と、SBS「カムバックマドンナ~私は伝説だ」で音楽を担当したイ・ジェハク監督が指揮を執り、耳まで楽しませた。完成度の高い爆発的なロックサウンドと、若者たちの力が相乗効果を発揮し、視聴者は自然に音楽に身を任せ、ドラマに集中することができた。

最近、ロックバンドの白頭山(ペクドゥサン)のギタリスト、キム・ドギュンがあるポータルサイトの自身が担当するコーナーで「美男バンド~キミに届けるピュアビート」について「BGMが全部バンドサウンドになっており、楽器をクローズアップする時の繊細さと、ストーリーを通して若き日にバンドをやりながらぶつかる悩みと葛藤、そして希望と愛をリアルに描いている」と評価した。

最終回の放送後ネットユーザーからは「このドラマが好きだった理由は、ただ日常を過ごし大切なものを忘れていた私に、友情と夢を取り戻してくれたから。クォン・ジヒョクという人物に共感でき、理解もできる。忘れられないドラマだ」「ソンジュン、エル、ユ・ミンギュ、ヒョンジェ、キム・ミンソク、みなさん、いいドラマでした。これからの演技も楽しみにしています」など、好評が相次いだ。

記者 : チョ・シニョン