ホン姉妹がおすすめする「ただ見ているだけで幸せになるドラマ」

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ドラマの中にも、マニアが存在するドラマや、ファンがいるドラマがある。しかしホン姉妹のドラマに存在するのは、一般的な視聴者だ。3才差の姉と妹、通称“ホン姉妹”と呼ばれる脚本家ホン・ジョンウンとホン・ミランは、2005年KBS「快傑春香」でデビュー。SBS「マイガール」からMBC「ファンタスティック・カップル」に至るまで、ファンタジーとパロディーの領域を自由自在に行き来しながら、高い視聴率を記録し続けてきた。おかしいけれど無理矢理な展開にはならない、想像力と個性にあふれたキャラクターたちが見せるコミカルな恋愛は、ホン姉妹が得意とするストーリーだ。彼女達はジャンルが持つ形式の中で最大限に遊びながらも、漫画に登場しそうなキャラクターにリアリティを与えて「マイガール」のチュ・ユリン「ファンタスティック・カップル」のナ・サンシルなど、これまで存在しなかったタイプの女性主人公を誕生させた。そして、2008年初のフュージョン時代劇であるKBS「快刀ホン・ギルドン」で、カルト的な悲喜劇を見せながら、ジャンルの新たな領域を開拓した。

家族と一緒に仕事をし、今でも放送が終わると家族から冷静な感想を聞くというホン姉妹。家族の意見を大事にする彼女達が、台本を書く時に最も心がけているのが「老若男女を問わず、誰でも気軽に見ることができるドラマ」だという。そのため、彼女達のドラマで感じられる明るい感受性の中心には、家族の大切さ、大人の責任感、本気や努力に対する補償など、極めて伝統的な価値が洗練された形に配置され、見ている人の心を動かすのだ。

ドラマの脚本を書き始めてから、ほとんど休むことなく「24時間、2人1組で、分業なんかない台本という工場を動かしながら」生きてきた彼女らは「快刀ホン・ギルドン」の後、久々に長い休みをもらった。その間、ホン姉妹が受けとった最高のプレゼントは「ドラマのどんなキャラクターよりも好きで、ただ見つめるだけで幸せになる男の子」、ホン・ジョンウンの息子である。「ソ・ジソブの目とチョ・インソンの唇、入江直樹の身長に似てくれとドラマを見ながら胎教をしたけれど、生まれた息子は顔の形がはっきりしていなくて、まるでチューブのようにまん丸な身体だった。しかし!まだ生後5ヶ月だから、希望はあると信じている。子どもの顔ってずっと変わっていくものだから」と説明した後「何だか“10コメント”を書くカン・ミョンソク記者が『遺伝子は変わらないんですね』と書き込みそう」と突っ込む笑いのセンスが相変わらずのホン姉妹だ。そんなホン・ジョンウンの胎教に積極的に活用され、ホン姉妹が“ただ見ているだけで幸せになる”ドラマに選んだ作品を紹介する。

MBC「この世の果てまで」
1998年 脚本:チョン・ユギョン、演出:キム・サヒョン

「親から捨てられたソヒ(キム・ヒソン)が孤児院院長の息子であるセジュン(リュ・シウォン)と恋に落ちる。しかし、セジュンの友達であるミンヒョク(キム・ホジン)の子どもを妊娠してしまい、セジュンと別れてミンヒョクと暮らすことになる。その後、ミンヒョクからも捨てられ、白血病にかかり死ぬという悲しいストーリーだ。しかし、このドラマが面白いと感じたのは、ストーリーよりも最強の美貌を持ったキム・ヒソンさんを見ることができたからだ」

ちなみに、ホン・ジョンウンが選んだ「この世の果てまで」のキム・ヒソンが美しいか、ホン・ミランが選んだ「青春の罠」のシム・ウナの方が綺麗なのかについて討論が繰り広げられた。この2人の美貌を越える女優が出てくるには…… 2人とも娘がいると聞いたので、その娘に希望をかけても良いのでは?

SBS「バリでの出来事」
2004年 演出:チェ・ムンソク、脚本:イ・ソンミ、キム・ギホ

「数多くの視聴者がそうであったように、私たちも『バリでの出来事』を見る度に、理性を失ってドラマに夢中になった。そして、理性を逃さないため、枕を手で強く掴んだ記憶が今も生々しい。特に、一番をカン・イヌク(ソ・ジソブ)にするか、チョン・ジェミン(チョ・インソン)にするかで激しく葛藤しながら身悶え、切ない伝説の挿入歌『だめなのか』が流れた時は『私が受け入れるから!私が!』と叫んだ。何よりもジェミンとイヌクの2ショットは韓国のドラマ史上、それ以上に美しいシーンはないと思えるほど美しかった。私たちを狂わせるのに十分な作品だった」

台湾CTV「イタズラなKiss~悪作劇之吻~」
2005年

「正直、韓流ドラマの外国人ファンが韓国まで来て、ドラマの撮影現場に行くのは、少しやりすぎなんじゃ? と思ったことがある。しかし『イタズラなKiss~悪作劇之吻~』のハンサムで頭も良く、冷静だけどかわいい主人公である入江直樹(ジョセフ・チェン)を見た後、私たちは台湾行きの飛行機のチケットを検索し、さらには台湾留学生のホームページまで探るなど、真剣にドラマの撮影現場までの行き方を詳しく調べた。結局は、用事ができてロケ地巡りは中止になったけれど、ドラマ一本が人の生活にどれだけ影響するのかを、30代半ばで改めて感じた作品だ」


「『美男ですね』も愉快で爽やかに」

この頃ホン姉妹は、SBS「太陽をのみ込め」の後続ドラマとして10月放送予定の「美男ですね」を執筆している。今回のドラマは「最高の人気を誇っている男性アイドルグループのメンバーの1人が、実は女だったら?」という、かなり少女漫画的な発想からスタートしたという。この作品の主人公であるテギョン役には、ホン姉妹の前作「快刀ホン・ギルドン」で重い運命を背負う美青年チャンフィ役を演じたチャン・グンソクがキャスティングされ、夏の終わり頃には撮影に入る予定だ。「『美男ですね』も、ただ見ているだけで幸せになる、愉快で爽やかな、そして可愛らしく若々しいドラマになれるように頑張って書いている」というホン姉妹の覚悟は、いつもと同じだ。しかし、ものすごい数を書いているわけでも、大きな野心があるわけでもなく“ストーリーの力”だけで信用ランキング1位に輝く“ホン姉妹のドラマ”が戻ってくることだけで、視聴者の胸はときめいてしまう。

記者 : チェ・ジウン、翻訳 : ナ・ウンジョン